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アンゾフ・マトリクスとは?BtoB営業支援で使える成長戦略

事業成長の方向性を検討する際、多くのBtoB企業が「新規開拓すべきか」「既存顧客深耕を優先すべきか」という問いに直面します。経営戦略の古典として広く知られる「アンゾフ・マトリクス」は、こうした成長戦略を“4つの選択肢”に整理し、判断の軸を与えてくれるフレームワークです。

近年では、BtoBマーケティングやインサイドセールス、ABM(アカウントベースドマーケティング)との親和性が高く、顧客セグメント戦略やターゲット優先度の設計にも応用されています。

本記事では、基本概念からBtoB営業での実践例、ABMとの接続まで体系的に解説。フレームワークの理解にとどまらず、「明日から事業の成長施策に活かせる」思考法として使える状態へ導きます。

目次[非表示]

  1. 1.アンゾフ・マトリクスとは?概念と枠組み
  2. 2.BtoB営業・インサイドセールス支援での応用
    1. 2.1.市場浸透戦略(既存市場 × 既存サービス)
    2. 2.2.新製品開発戦略(既存市場 × 新サービス)
    3. 2.3.新市場開拓戦略(新市場 × 既存サービス)
    4. 2.4.多角化戦略(新市場 × 新サービス)
  3. 3.アンゾフ・マトリクスを実務に落とし込むステップ
    1. 3.1.アンゾフ象限別の実務施策マップ
    2. 3.2.ステップ1:現状把握
    3. 3.3.ステップ2:戦略の選定と優先順位付け
    4. 3.4.ステップ3:営業・インサイドセールス体制の構築
    5. 3.5.ステップ4:モニタリングと改善
  4. 4.まとめ:営業・マーケが同じ地図を共有するために

アンゾフ・マトリクスとは?概念と枠組み

アンゾフ・マトリクス(Ansoff Matrix)は、企業の「成長の方向性」を4つの戦略に整理したフレームワークです。

2軸構成で、「市場(既存/新規)」と「製品・サービス(既存/新規)」を掛け合わせることで、次の4象限を導きます。

BtoB成長戦略を整理するアンゾフ・マトリクス

  1. 市場浸透戦略:既存市場 × 既存製品
  2. 新製品開発戦略:既存市場 × 新製品
  3. 新市場開拓戦略:新市場 × 既存製品
  4. 多角化戦略:新市場 × 新製品

このフレームワークはもともと製造業や消費財ビジネスで活用されてきましたが、近年はBtoB企業の営業戦略立案にも応用され始めています。

特に、マーケティングと営業が分業化され、インサイドセールスやABM(アカウント・ベースド・マーケティング)が重要になった現在では、どの象限を狙うべきかを明確にしないと「施策の散漫化」「リードの質低下」が起こりやすくなります。

アンゾフ・マトリクスは、そうしたBtoBの成長戦略を整理し、営業・マーケ・インサイドセールスの“同じ地図”を描くための指針として有効です

ABMとは?アカウント・ベースド・マーケティングの基本を解説

BtoB営業・インサイドセールス支援での応用

市場浸透戦略(既存市場 × 既存サービス)

最もリスクが低く、短期的な成果が見込みやすい象限です。既存顧客・既存ターゲット市場に対して、営業効率や受注率を高めるための改善を図ります。

BtoB営業では、CRMやMA(Marketing Automation)を活用し、リードの温度感や営業接点を可視化することで、休眠顧客や過去の引き合いを再活性化できます。

また、インサイドセールス支援会社が行う「再ナーチャリング」や「掘り起こし施策」も、この象限にあたります。

さらにABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の観点では、既存顧客群の中からLTV(顧客生涯価値)が高い企業群を特定し、営業リソースを集中投下することが効果的です。

「量」よりも「質」を重視し、アップセル・クロスセルに向けたアカウント戦略を明確にすることがポイントです。

新製品開発戦略(既存市場 × 新サービス)

既存のターゲット市場に対して、新しいソリューションや機能を追加して販売を拡大するアプローチです。営業支援の現場では、「既存顧客の課題を深掘りし、関連領域に横展開する」ケースが多いです。

例えば、営業代行会社が「アポ獲得支援」から「商談設計支援」、「インサイドセールス立ち上げ支援」まで提供範囲を広げるのもこの象限にあたります。

既存顧客の声をもとに新サービスを設計することで、リード獲得コストを抑えつつ、LTV最大化を狙える点がメリットです。

ただし、営業現場では「新しい価値を伝え切れない」「営業資料が整備されていない」といった課題が起こりがちです。この段階では、セールスイネーブルメント(営業力強化)の仕組み化が成功の鍵を握ります。

セールスイネーブルメントとは?注目される理由や要素を解説

新市場開拓戦略(新市場 × 既存サービス)

自社の既存サービスを、まだリーチしていない市場や業界へ展開する戦略です。BtoBにおける「新市場」とは、業種・地域・企業規模などのセグメントを指します。

この象限では、ターゲットリスト設計とABM設計の精度が勝負になります。

たとえば、これまで製造業向けに提供していたソリューションを、IT企業や教育業界にも展開する際、顧客課題の構造や購買意思決定プロセスが異なるため、同じ営業アプローチは通用しません。

ここでは、マーケティングデータの分析力と営業メッセージのカスタマイズ力が不可欠です。

また、インサイドセールス支援会社を活用し、テストマーケティング的に新業界へのアプローチを行うことで、リスクを抑えた検証が可能になります。

多角化戦略(新市場 × 新サービス)

リスクは最も高いが、長期的な成長の柱を築く戦略です。新規市場に新サービスで挑戦するため、事業開発やパートナー連携が必須になります。

BtoB営業の現場では、この象限に挑む際に「どの企業と組むか」「どの顧客群から試すか」が重要です。

営業代行・インサイドセールス支援の立場でいえば、既存商材だけではアプローチできない新市場に向けて、リード獲得~ナーチャリング~商談創出の一連を検証フェーズとして設計する支援が有効です。

ABMの観点では、まず「どのアカウント群に新しい価値を届けるか」を仮説立てし、パイロット運用を重ねながら市場検証を進めることが求められます。このフェーズでは、「営業が市場を作る」という意識が欠かせません。

アンゾフ・マトリクスを実務に落とし込むステップ

アンゾフ象限別の実務施策マップ

戦略象限

主な目的

営業・マーケ施策例

市場浸透

既存顧客の深耕

休眠掘り起こし・リード再ナーチャリング・ABM

新製品開発

既存市場の拡張

新ソリューション提案・営業トーク刷新

新市場開拓

新セグメント開拓

ターゲットリスト設計・テストABM

多角化

新事業の創出

新規市場検証・営業代行+マーケ連携

実際にアンゾフの各象限を“営業プロセス設計”に落とし込んだ事例は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

ABMでの受注率を飛躍させる秘訣

ステップ1:現状把握

自社の製品・市場の位置づけを整理し、「どの象限にいるのか」を可視化します。

営業データ・CRM・MAデータを基に、顧客層・受注傾向・商談進捗を定量的に分析することが出発点です。

ステップ2:戦略の選定と優先順位付け

どの象限を狙うかは、営業リソース・市場環境・事業フェーズにより異なります。

短期的には「市場浸透」から取り組み、中長期では「新市場開拓」や「新サービス開発」を並行するなど、ロードマップ設計が重要です。

ステップ3:営業・インサイドセールス体制の構築

戦略を実現するには、マーケティングと営業の連携が不可欠です。リード獲得・ABM設計・ナーチャリング・商談化・受注後フォローのプロセスを一気通貫で設計します。

ここで外部のインサイドセールス支援会社を活用することで、リード検証やターゲット市場探索を効率的に行えます。

ステップ4:モニタリングと改善

KPIを設定し、リードの質・商談率・受注率・LTVなどを定期的にモニタリング。

ABM運用の場合は、アカウント単位のエンゲージメントを可視化し、戦略象限を再評価していきます。

まとめ:営業・マーケが同じ地図を共有するために

アンゾフ・マトリクスは、単なる理論ではなく、営業・マーケ・インサイドセールスの共通言語として機能します。

どの象限で戦うのかを明確にすることで、施策の優先度・リソース配分・評価指標が一致し、組織全体の動きが整います。

特にBtoB営業では、「ABM×アンゾフ・マトリクス」の視点を持つことで、

  • どの市場で深耕するか(既存市場)
  • どの企業群に新しい価値を届けるか(新市場)
  • どのように組織を拡張していくか(多角化)

を論理的に整理できます。

まずは自社が今どの象限に立っているかを可視化し、小さくテストしながら戦略を磨くことが重要です。その積み重ねが、持続的なBtoB営業成長の原動力になります。

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