セールスイネーブルメントとは? 定義や効果、実施手順を解説
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業部門が安定的に高い成果を上げるため行なう組織強化・業務改善・人材育成などの取り組みを指す言葉です。
セールスイネーブルメントの取り組みは、営業の属人化を防ぎ、組織内の誰もが高い実績を出すために必要であるとして、昨今注目を集めています。
本記事ではセールスイネーブルメントの定義や効果、取り組み内容、実施手順などを解説します。「営業の成果を上げたい」「継続的に高い実績を上げられる営業組織をつくりたい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考に、セールスイネーブルメントを実施してみてください。
目次[非表示]
- 1.セールスイネーブルメントとは?
- 1.1.セールスイネーブルメントの定義
- 2.セールスイネーブルメントの主な取り組み内容
- 2.1.営業担当者の育成
- 2.2.セールス用コンテンツの作成
- 2.3.営業支援ツールの活用
- 3.セールスイネーブルメントが注目されている理由
- 3.1.営業の属人化を防ぐため
- 3.2.顧客ニーズが多様化しているため
- 3.3.営業手法がソリューション営業へ変化しているため
- 4.セールスイネーブルメントの効果とメリット
- 5.セールスイネーブルメントの手順とポイント
- 5.1.営業活動のデータを収集・整理する
- 5.2.人材を選定・アサインする
- 5.3.人材育成プログラムを開発する
- 5.4.トレーニングの効果測定をする
- 6.まとめ
セールスイネーブルメントとは?
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業部門が安定的に高い成果を上げるため行なう取り組みのこと。営業部門に所属する人材全員が「売れる営業」になることを目指し、組織強化・業務改善・人材育成などを実施します。
まずは、セールスイネーブルメントの定義や具体的な取り組み内容、注目される背景について、詳しく見ていきましょう。
セールスイネーブルメントの定義
前述したように、セールスイネーブルメントは営業組織の強化・改善・人材育成を実施し、組織内の人材全員が「売れる営業」になることを目指す取り組みです。
日本におけるセールスイネーブルメント分野の第一人者、山下貴宏氏はセールスイネーブルメントを「成果につながる営業人材育成の仕組み」と定義しています。
セールスイネーブルメントの主な取り組み内容
セールスイネーブルメントの主な取り組みには、以下のような内容が該当します。
営業担当者の育成
自社で優秀な成績を上げている営業担当者のナレッジ・行動特性・ノウハウなどを分析して可視化。分析したデータを使ってトレーニングプログラムを開発し、組織内の人材育成に役立てて営業組織を強化します。
セールス用コンテンツの作成
商品カタログやプレゼン資料などのセールスコンテンツを作成し、組織内で共有管理する取り組みも、セールスイネーブルメントに該当します。セールスコンテンツを充実させることで顧客へアプローチしやすくなり、営業力強化につながります。
営業支援ツールの活用
SFA(営業支援システム)・CRM(顧客関係管理)・MA(マーケティングオートメーション)などの営業支援ツールを活用し、営業に関わる顧客データや社内データを収集して分析。営業施策の効果測定を行なって「どの施策がより効果的だったか」「成果につながりやすい施策は何か」を追求します。
セールスイネーブルメントが注目されている理由
近年、セールスイネーブルメントは注目度が高まっており、取り組みに活用できるツールの売り上げも増加しています。セールスイネーブルメントが注目されている主な理由には、次の2点が挙げられるでしょう。
営業の属人化を防ぐため
従来の営業活動は、担当者によって成果に差がある状況が一般的でした。受注までのプロセスがブラックボックス化しているために、成績優秀者の知見やノウハウが組織内で共有されず、人によって実績に差が出てしまうのです。
セールスイネーブルメントを実施して、営業の属人化を防ぎ、売上が誰かに偏る状況を改善すれば、組織全体の成果向上につながります。営業組織が高い成果を出し続けるためには、属人化を防ぐ取り組みが必要なのです。
顧客ニーズが多様化しているため
近年は、インターネットの普及などにより人々の価値観が多様化し、顧客ニーズが複雑化しています。営業担当者の勘に頼った営業スタイルでは、多様化するニーズを把握するのが難しいため、ツールによる顧客分析の重要性が増しています。
セールスイネーブルメントを行ない、営業支援ツールで顧客情報を収集し、ニーズを分析して適切なアプローチにつなげる必要性が高まっているのです。
営業手法がソリューション営業へ変化しているため
営業手法の変化も、セールスイネーブルメントの普及に影響しています。今までの営業手法は、単に商材を詳しく紹介するプロダクト営業が盛んでした。
しかし近年では、顧客のニーズに合わせて商材を提案する「ソリューション営業」が主流になっています。ソリューション営業は、顧客の課題解決につながる商材を的確に提案する必要があるため、商品知識だけでなく、顧客ニーズの深掘りも欠かせません。
より高度な営業スキルを要する手法であるため、ソリューション営業に適応できる人材を組織全体で育成する必要性が高まっているのです。
セールスイネーブルメントの効果とメリット
セールスイネーブルメントを実施することで得られる効果とメリットには、以下のようなものがあります。
・組織の営業力が向上し、業績アップにつながる
・営業活動のプロセスや人材育成を仕組化・効率化できる
・営業部門とマーケティング部門の連携強化に役立つ
セールスイネーブルメントを実施すると、営業活動のノウハウやプロセスが組織内に共有されます。人材育成の効率化および組織の営業力強化につながるため、今までよりも業績が上がりやすくなるでしょう。
またセールスイネーブルメントは、マーケティング部門との連携強化にも役立ちます。ITツールを活用して、営業活動の情報や顧客情報を分析するため、リードを獲得するための戦略立案に活かせるからです。
セールスイネーブルメントを進めるなかで、マーケティング部門とのコミュニケーションが活発化する可能性もあります。コミュニケーションが活発化すれば、協力体制が強固となり、リード獲得から商談成立までの流れがよりスムーズになるでしょう。
セールスイネーブルメントの手順とポイント
続いて、セールスイネーブルメントを実施する手順とポイントについて解説します。セールスイネーブルメントは、以下の4ステップで進めるとスムーズに導入できるでしょう。
営業活動のデータを収集・整理する
まずはSFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などのITツールを導入し、営業活動のデータを収集します。ITツールでの情報収集だけでなく、成績優秀な営業担当者への聞き込みも重要です。
以下のような情報を集めて整理し、セールスイネーブルメントの下準備をしましょう。
・営業プロセスの共通項目
・効果的だった営業施策の共通項目
・営業活動のうち組織で管理すべき項目
また、上記のような営業情報を収集・整理すると同時に、営業活動の課題点をマネジメント層がリアルタイムで管理できる環境を整えておきましょう。
人材を選定・アサインする
データ収集と同時に、セールスイネーブルメントの担当者となる人材を選定・アサインします。セールスイネーブルメントの担当者は、主に以下のようなタスクを担います。
・営業活動の情報を随時収集して分析
・人材育成プログラムの開発と提供
・営業活動や人材育成の効果を検証
・セールスイネーブルメントの進捗をマネジメント層へ共有
担当者には多くのタスクがあるため、なるべく専任とするのが望ましいでしょう。
人材育成プログラムを開発する
情報収集と人材選定を終えたら、育成プログラムの開発を行ないます。業績が良い営業担当者の行動パターンやナレッジを分析し、組織内の誰もが吸収できる形式へ体系化しましょう。
人材育成プログラムは、企業の方針によって形態や内容が異なります。
・ハイパフォーマーが他の営業へコーチングする
・営業の成功事例をコンテンツにして組織内で共有する
・ハイパフォーマーのナレッジやノウハウを資料として共有する
・eラーニングのコンテンツを作成して全営業担当へ共有し、学習後にテストする
上記のように、さまざまな形態・内容が考えられます。自社の営業指標に沿ったプログラムを開発し、営業担当者へ提供しましょう。
トレーニングの効果測定をする
プログラムを導入したあとは、定期的に効果測定してPDCAサイクルを回すことが重要です。「どのような取り組みでどのような成果が出たか/出なかったか」を分析し、改善していくと、より効果的な育成プログラムや営業施策を実行できるようになります。
効果測定をするためにも、セールスイネーブルメントの実施履歴は、必ずデータとして残しておくようにしましょう。
また、セールスイネーブルメントの進捗状況や成果は、マネジメント層へ共有します。営業組織の強化を企業経営の一部に組み込み、継続的に注力することが大切です。
まとめ
セールスイネーブルメントについて、定義や効果、取り組み内容、実施手順などを解説しました。セールスイネーブルメントとは、安定的に高い営業成果を上げるため行なう組織強化・業務改善・人材育成などの取り組みのことです。
セールスイネーブルメントには、以下のようなメリットがあります。
・組織の営業力が向上し、業績アップにつながる
・営業活動のプロセスや人材育成を仕組化・効率化できる
・営業部門とマーケティング部門との連携強化に役立つ
自社の営業活動を分析し、データに基づいたトレーニングプログラムや営業施策を設定・実行すれば、営業組織の強化につながるでしょう。
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