
CRM分析とは?営業成果につなげる実践手法を解説
CRMには商談履歴、架電履歴、顧客属性など、営業活動に直結する多くの情報が蓄積されていきます。しかし、データはあっても「どう分析すれば成果につながるのか分からない」「どの指標を見ればいいのかが曖昧」という悩みを抱える企業も少なくありません。
特にBtoB営業においては、CRM分析を通じて“売れる傾向”を見極め、再現性ある営業活動へとつなげることが求められています。
本記事では、「CRM分析とは何か」から始まり、分析に使う具体的な指標、成果につながる活用法、インサイドセールスでの実践例まで、実務視点でわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.CRM分析とは?BtoB営業における基本理解
- 1.1.CRM分析の定義と役割
- 1.2.CRM分析で得られる効果
- 2.CRM分析で見るべき主要指標とは?
- 2.1.営業パフォーマンス関連のKPI
- 2.2.顧客属性・セグメント分析
- 2.3.行動履歴・接点の質に関する分析
- 3.CRM分析を活かす具体的な活用シナリオ
- 3.1.インサイドセールスのアプローチ改善
- 3.2.マーケティング施策との連携
- 3.3.営業マネジメントへの活用
- 4.CRM分析がうまくいかない企業の特徴と対策
- 4.1.データが入力されていない/バラバラ
- 4.2.見るだけで終わってしまう分析
- 4.3.指標や粒度がバラバラで比較できない
- 5.まとめ:CRM分析で営業改革
CRM分析とは?BtoB営業における基本理解
CRM分析の定義と役割
CRM分析とは、顧客情報をもとに営業活動を可視化・改善する手法
CRM(Customer Relationship Management)分析とは、顧客に関するあらゆるデータを収集・統合し、営業活動を数値化・可視化することで、効果的な営業戦略の立案と実行を支援する手法です。BtoB営業では、顧客企業のニーズや購買プロセスが複雑なため、CRM分析を活用して営業活動の効率化や成果向上を図ることが必須となっています。
たとえば、Salesforceの2023年調査によると、CRMを活用する企業のうち、約65%が営業成績の向上を実感していると報告されています。これは、CRM分析が営業プロセスのボトルネック特定や、顧客との接点強化に寄与しているためです。
SFAやMAとの違いと補完関係
CRM分析はSFA(Sales Force Automation)やMA(Marketing Automation)と混同されがちですが、それぞれの役割は異なります。
つまり、SFAやMAが営業・マーケティング活動の「実行」を支援するツールであるのに対し、CRM分析はそれらの活動から得たデータを活用し「次のアクション」を科学的に導く役割を担っています。
なぜ今、BtoB営業でCRM分析が求められているのか
現在、BtoB営業環境は以下のような変化に直面しています。
顧客の購買行動の変化
リモートワークやデジタル化の影響で顧客の購買プロセスが複雑化・多様化。営業担当者の属人化の解消ニーズ
営業ノウハウの個人依存から組織的な営業力強化へのシフト。
競争激化とコスト意識の高まり
限られたリソースで最大成果を求められる。
これらを背景に、営業活動の「見える化」と「科学的な改善」が不可欠となり、CRM分析の重要性が増しています。マッキンゼーの調査では、データドリブンな営業組織は非データ活用組織に比べて、売上成長率が20%高いという結果も出ています。
CRM分析で得られる効果
成果の出る営業プロセスの再現性を高める
CRM分析を活用することで、どの営業プロセスや接点が成果に結びついているかを定量的に把握可能です。これにより、成功パターンの再現性を高め、営業活動の標準化が実現します。
非効率な営業リソースの可視化と削減
CRM分析は営業担当者ごとの活動量や効果も可視化します。これにより、過剰な訪問や無駄な商談、重複営業の排除が可能です。実際に、米国のある大手企業ではCRM分析導入後、営業コストを約15%削減した事例があります。
顧客理解の深化とパーソナライズ戦略の強化
顧客の購買履歴やコミュニケーション履歴を分析することで、顧客ごとのニーズや課題が明確になります。これにより、パーソナライズされた提案やタイムリーなアプローチが可能となり、顧客満足度とLTV(顧客生涯価値)が向上します。
CRM分析で見るべき主要指標とは?
営業パフォーマンス関連のKPI
架電数/接触率/商談化率/受注率
営業活動の基本的なパフォーマンス指標として、架電数、接触率、商談化率、受注率は重要です。
このように、架電数は量の指標であり、接触率や商談化率、受注率は質の指標となります。CRM分析により、これらのKPIをリアルタイムでトラッキングし、ボトルネックを特定することが可能です。
営業ステージごとの歩留まり率
営業プロセスは複数のステージ(例:リード獲得→商談設定→提案→クロージング)に分かれています。各ステージの歩留まり率(次のステージに進む割合)を把握することで、どこで商談が停滞しているかを明確にできます。
ステージごとの歩留まり率を定期的に分析することで、営業活動のどの部分に改善余地があるかが見えてきます。
個人別・チーム別のKPI比較
CRM分析では、営業担当者やチームごとのKPIを比較し、パフォーマンスのばらつきや成功要因を特定することができます。これにより、優秀な営業のノウハウ共有や、育成ポイントの把握が容易になります。
顧客属性・セグメント分析
業種・企業規模・部門別の受注傾向
CRM分析は、顧客の属性別に受注傾向を解析することができます。例えば、業種別の受注率や企業規模別の平均契約額を把握することで、営業リソース配分の最適化が可能です。
意思決定者の役職別データ
意思決定者の役職別にデータを分析すると、どの役職層のアプローチが受注に結びつきやすいかがわかります。たとえば、Cレベルと現場責任者では意思決定プロセスや関心事項が異なるため、それに応じた営業アプローチが必要です。
受注・失注のパターン分析
CRMデータを用いることで、受注や失注の要因パターンを抽出可能です。例えば、価格交渉での失注が多いのか、機能不足が理由か、競合他社との比較で負けているのかをデータで明確化し、営業戦略を見直せます。
行動履歴・接点の質に関する分析
初回接点から受注までのリードタイム
リードタイム(初回接触から契約成立までの期間)は、営業の効率性を示す重要指標です。BtoBの平均リードタイムは約90日とされており、これを短縮することで営業サイクルの高速化が図れます。
メール開封・資料DL・ウェビナー参加などの行動ログ
マーケティング活動との連携で得られる行動ログは、顧客の関心度合いや購買意欲を測る重要な指標です。たとえば、メール開封率は平均20〜30%、資料ダウンロード率は10%程度がBtoB業界の標準値です。
複数チャネル接触と成果の相関性
近年の調査によると、複数チャネル(電話・メール・SNS・ウェビナーなど)での接触がある商談は、単一チャネルよりも受注率が約30%高いと報告されています。CRM分析により、効果的なチャネル組み合わせの最適化が可能です。
CRM分析を活かす具体的な活用シナリオ
インサイドセールスのアプローチ改善
商談化しやすい属性の抽出と優先順位設定
CRM分析を活用することで、過去の受注データをもとに「商談化率が高い顧客属性」を抽出できます。例えば、業種や企業規模、役職、過去の接触履歴など複数の要素を掛け合わせ、商談に繋がる可能性の高いリードを優先的にアプローチすることが可能です。
米国の調査では、こうした優先順位付けによりインサイドセールスの効率が最大30%向上したと報告されています。
最適なタイミングでの架電戦略の構築
CRM分析は、過去の成功事例から「架電の最適な曜日・時間帯」や「接触頻度」を特定し、架電計画に反映できます。たとえば、架電成功率が高い時間帯に集中して架電を行うことで、接触率を20%向上させる事例もあります。
スクリプト改善へのフィードバック設計
営業トークスクリプトの効果もCRM分析で評価可能です。成約率の高い商談の会話内容やフレーズを抽出し、スクリプトに反映。さらに定期的に分析して改善点をフィードバックするPDCAサイクルを構築します。これにより、トークの質が均一化し、若手営業の育成にも寄与します。
▼インサイドセールス成功にも役立つCRMツール
https://sales.en-sx.com/column/8
マーケティング施策との連携
MAデータとの統合によるスコアリング精度向上
MA(Marketing Automation)ツールが収集するWeb行動ログやメール反応率をCRMと統合し、リードスコアリングの精度を高めます。これにより、見込み度合いが高いリードの優先順位付けがより正確に行え、営業効率が向上します。
CV後の動きを加味したシナリオメール設計
例えば資料ダウンロードやウェビナー参加といったコンバージョン(CV)後の顧客行動を分析し、それに応じたシナリオメールを設計します。興味度の高い顧客にはフォローアップメール、検討段階の顧客には比較資料の提供など、きめ細やかなコミュニケーションが可能です。
顧客行動から逆算したホワイトペーパーやセミナー企画
CRM分析によって顧客の関心テーマや課題傾向が見える化されるため、それに基づきホワイトペーパーのテーマ設定やセミナー企画を行います。ターゲット層の課題に直結した内容にすることで、集客率や参加率を高められます。
営業マネジメントへの活用
成果を出している営業パターンの可視化
CRMデータを分析することで、成果を出している営業担当者の行動パターンやアプローチ手法を抽出可能です。例えば、架電頻度やメールのタイミング、商談設定までのステップ数などを指標化し、優良パターンを組織全体で共有・展開します。
改善が必要な営業活動の特定と育成支援
一方で、成果が出ていない営業担当者の活動パターンも特定し、どの部分に改善が必要かを明らかにします。CRM分析は「量」だけでなく「質」の評価も可能なため、属人化しがちな営業活動の均質化と育成支援に効果的です。
全体KPIと現場実態のギャップ把握
トップマネジメントが設定するKPIと、現場の営業活動実態とのギャップをデータで把握し、現場とのズレを早期に是正します。これにより、目標達成に向けた現実的かつ効果的な戦略立案が可能となります。
CRM分析がうまくいかない企業の特徴と対策
データが入力されていない/バラバラ
入力文化の醸成とルール化のポイント
CRM分析の前提は「正確で一貫したデータ入力」です。しかし多くの企業では、営業担当者が入力を怠る、あるいは方法がバラバラで分析に使えないデータが蓄積されがちです。
対策ポイント:
トップダウンで入力ルールを明確に定義し、組織全体で共有する。
「必須項目」と「推奨項目」を明確に区別し、必須項目の入力は強制化する。
定期的にデータ品質をチェックし、不備があればフィードバックする仕組みを作る。
営業が「入力したくなる」設計とは
単に入力を強制するだけでなく、営業担当者が自発的に入力したくなる仕組みも重要です。
入力負担を減らすUI/UX設計(スマホ対応、選択肢の工夫)
入力すると営業活動に直結するフィードバック(例:次の営業アクション提案)
入力状況をKPIに含めて評価するなど、インセンティブ設計
MAやフォームとの連携による自動化
人的入力を減らすために、マーケティングオートメーション(MA)ツールやWebフォームとCRMを連携し、自動でデータ収集・反映を行う仕組みが効果的です。
見るだけで終わってしまう分析
アクションに直結する指標と設計の違い
CRM分析の失敗例の一つは、「データを見るだけで終わってしまう」こと。分析は必ずアクションにつなげることが前提です。
単なる過去データの報告ではなく、「何が問題か」「どこを改善すべきか」に
フォーカスした指標設計が重要。たとえば、「商談化率が低い理由は何か?」を掘り下げるため、
顧客属性別や営業担当者別の詳細分析が必要。
「見るための分析」ではなく「動くための分析」へ
組織全体で「分析結果を元に行動する文化」を作ることも必須。具体的には、
分析レポートに必ず「次のアクション提案」を含める
定例ミーティングで分析結果を議論し、改善策を現場に落とし込む
アクションの効果を追跡し、フィードバックする体制を整備
分析→示唆→施策→検証のPDCA設計
CRM分析は単発で終わらせず、継続的に改善を重ねるPDCAサイクルで運用することが成果に直結します。
指標や粒度がバラバラで比較できない
CRM項目設計のベストプラクティス
指標やデータ項目が統一されていないと、比較や分析が難しくなります。CRM項目設計は以下の点に注意して行うのが効果的です。
標準化された用語や分類の採用(例:業種コード、商談ステージ名)
粒度を揃えたデータ構造設計(例:日付形式の統一、数値の単位統一)
必須項目の設定と運用ルールの策定
SFA/MAと統一すべき指標とは?
SFAやMAなど複数ツールを利用している場合、主要指標は統一しておく必要があります。
フェーズ設計とタグ運用の整備手順
営業プロセスのフェーズ(ステージ)設計やタグ(属性・状況のラベル)運用も統一が必要です。
現状調査:既存のステージやタグのリストアップと利用状況の確認
設計・標準化:部門横断で合意形成し、標準フェーズ・タグを策定
ツール反映:CRM・SFAに実装し、利用ガイドを作成
教育・運用支援:定期的なトレーニングと運用ルールの徹底
改善サイクル:定期的に見直し、使いやすさ・効果を検証
まとめ:CRM分析で営業改革
CRM分析は、営業活動を可視化し、改善につなげるデータドリブンな手法です。顧客属性や営業プロセスのKPIを詳細に分析し、再現性のある営業戦略を構築できます。
一方で「データはあるのに、分析が活用されていない」「入力が定着しない」といった課題を抱える企業も多く見られます。
成果を出すには、単なる分析で終わらせず、指標設計や入力ルールを含む“構造的な仕組みづくり”が欠かせません。分析結果をアクションにつなげるための組織設計こそ、CRM活用成功のカギとなります。
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