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RevOpsとは?BtoB企業が成果を最大化するための実務ガイド

マーケティングがリードを獲得しても、商談化や受注に結びつかない――そんな“もったいない”状況はありませんか?

多くのBtoB企業では、マーケ・インサイドセールス(IS)・フィールドセールス(FS)・カスタマーサクセス(CS)が別々のKPIで動き、データや意思決定が分断されています。

RevOps(Revenue Operations)は、この分断を解消し「収益を生む一連の流れ」を組織横断で最適化する考え方です。

本記事では、RevOpsの定義・導入ステップ・具体的なKPI設計・ツール運用・実務上の落とし穴とその回避策まで、すぐに使えるテンプレと実践例を網羅的に提供します。導入段階別の実行計画も含め、現場で実際に成果を出すための手順を示します。

目次[非表示]

  1. 1.RevOpsとは──分断されたRevenueプロセスを統合する“事業成長のOS”
  2. 2.なぜRevOpsが必要なのか──BtoB組織が抱える7つの成長阻害要因
    1. 2.1.1. リードが増えても商談化率が上がらない
    2. 2.2.2. マーケ・IS・営業間の連携ロス
    3. 2.3.3. KPI の不一致
    4. 2.4.4. データの不整合
    5. 2.5.5. 営業プロセスの属人化
    6. 2.6.6. CSが売上に寄与しているのに“見えない”
    7. 2.7.7. オペレーションを統括する役割が不在
  3. 3.RevOpsが担う4つの主要領域
    1. 3.1.1. プロセス:パイプラインの一気通貫設計
    2. 3.2.2. データ:判断基準の一本化
    3. 3.3.3. テクノロジー:MA / SFA / CRM運用
    4. 3.4.4. 組織:サイロの解消と役割定義
  4. 4.インサイドセールス × RevOps が強力な理由
    1. 4.1.ISはマーケと営業の“境界面”
    2. 4.2.ISがプロセス遵守の中心
    3. 4.3.MA/SFA/CRMとの親和性が高い
  5. 5.RevOps導入ステップ
    1. 5.1.STEP1:現状プロセス・KPIの棚卸し
    2. 5.2.STEP2:役割と責任範囲の再定義
    3. 5.3.STEP3:North Star KPIの設定
    4. 5.4.STEP4:プロセス標準化とSLAの整備
    5. 5.5.STEP5:MA/SFA/CRMのデータ整備
    6. 5.6.STEP6:定点レビューの運用
  6. 6.組織規模別:3つのRevOpsモデル
    1. 6.1.① スタートアップ初期(20〜50名)
    2. 6.2.② ミドルステージ(50〜200名)
    3. 6.3.③ エンタープライズ(200名〜)
  7. 7.まとめ:RevOpsでBtoB営業・収益を最大化するために
    1. 7.1.最後に

RevOpsとは──分断されたRevenueプロセスを統合する“事業成長のOS”

RevOps(Revenue Operations)は、マーケティング・インサイドセールス(IS)・フィールドセールス(FS)・カスタマーサクセス(CS)にまたがるプロセス、データ、KPIを統合し、売上の再現性を高めるためのオペレーションモデルです。

もともとは欧米SaaS企業を中心に普及した概念ですが、日本のBtoB企業こそ必要性が高まっています。

理由は明確で、マーケ・IS・営業・CSがそれぞれ最適化された結果、全体としての売上プロセスが最適化されていないという課題を抱えているためです。具体的には、次のような状況が多くの企業で起きています。

  • マーケはリード数を追う一方、営業は商談化率の悪化に苦しんでいます
  • ISは“量”を追う業務に引っ張られ、“商談価値”という質の議論ができていません
  • SFA上の数字と現場の実態が一致しません
  • CSのデータが経営に届かず、解約予兆への対応が遅れます

こうした分断状態では、どれだけツール導入や営業支援を行っても、事業成長の限界はすぐに訪れます。 RevOpsは、この“部分最適”を抜け出して、売上に直結するプロセスを一気通貫で再設計するアプローチなのです。

なぜRevOpsが必要なのか──BtoB組織が抱える7つの成長阻害要因

RevOpsが注目される背景には、BtoB企業が構造的に抱えている営業課題があります。
とくに次の7つは、ほぼすべての企業がぶつかりやすい領域です。

1. リードが増えても商談化率が上がらない

MAでリード獲得が進んでも、「誰を優先すべきか」が属人化している企業が大半です。
その結果、ISが量をこなすだけになり、成熟度の評価が行われません。

2. マーケ・IS・営業間の連携ロス

マーケはSQL基準の深さを理解しきれず、営業は“温度感が低い”と判断しがちです。
ISはその板挟みになり、成果が出にくくなります。

3. KPI の不一致

マーケはCV数、ISは架電数、営業は受注金額という構図は典型例です。
見る指標が違えば、プロセスが分断するのは必然です。

4. データの不整合

MA・SFA・CRMのデータ項目や定義が統一されていないため、ダッシュボードが機能しません。

5. 営業プロセスの属人化

成果が出ている営業の行動を言語化できておらず、育成が進まないという課題があります。

6. CSが売上に寄与しているのに“見えない”

本来は解約防止・LTV向上の鍵ですが、KPIが曖昧な企業は多いです。

7. オペレーションを統括する役割が不在

営業企画は“資料作成と数字集計”に偏り、プロセス統合やデータ運用が担われにくい構造です。

RevOpsが担う4つの主要領域

RevOpsは、単なる“司令塔”や“管理部門”ではありません。
次の4領域を横断し、事業オペレーションの最適化を推進します。

1. プロセス:パイプラインの一気通貫設計

  • SQL → SAL → 商談 → 受注
  • 各フェーズのボトルネック
  • 失注理由の分類と改善ポイント

これらを可視化し、標準化します。

2. データ:判断基準の一本化

  • KPI設計
  • ダッシュボード整備
  • データ品質管理

“データがある”ではなく、“使える状態”にするのがRevOpsです。

3. テクノロジー:MA / SFA / CRM運用

ツール導入だけでなく、運用ルール設計まで踏み込みます。

4. 組織:サイロの解消と役割定義

部門間の境界面を整理し、SLA(部門間の合意事項)を策定します。

インサイドセールス × RevOps が強力な理由

RevOpsが最も力を発揮する領域のひとつが、インサイドセールスです。

ISはマーケと営業の“境界面”

部門間のズレが最も集約されやすいため、改善効果が大きいです。

ISがプロセス遵守の中心

SQL基準・引き渡しの温度感・商談化の精度など、プロセス運用の核を担います。

MA/SFA/CRMとの親和性が高い

ツール運用の中心になるため、RevOpsの価値が発揮されやすい部門です。

RevOps導入ステップ

STEP1:現状プロセス・KPIの棚卸し

まずは現状把握から始めます。ここでは、組織全体の売上プロセスと指標を可視化することが目的です。

フェーズの定義

SQL(Sales Qualified Lead)から商談、受注までの各フェーズを整理します。

例えば、ISが担当する“初回接触後の商談化フェーズ”と営業が担当する“商談クローズフェーズ”の境界を明確にします。

フェーズごとの成果指標や基準が曖昧だと、部門間の責任範囲が不明確になり、改善の優先順位もつけにくくなります。

マーケ・IS・営業・CSの役割整理

各部門が「何を目的に」「何をどこまでやるのか」を棚卸します。

例:マーケはリード育成まで、ISは商談化まで、営業は受注まで、CSは継続・アップセルまで、といった役割を具体的に文書化します。これにより、部門間での責任のあいまいさや重複作業を明確にできます。

ボトルネックの特定

各フェーズでどの部分が停滞しているかを、データと現場ヒアリングで特定します。

例えば、ISがリードを営業に引き渡すタイミングが遅い、営業がアサインされた商談を追いきれない、などです。

「なぜその運用にしているのか?」の背景理解

数字やフローだけでなく、現場の運用ルールや慣習の背景を理解します。

単純に「やめる」と決めるのではなく、「なぜこう運用しているのか」を押さえることで、改善案が現実的かつ受け入れられやすくなります。

STEP2:役割と責任範囲の再定義

現状棚卸で明らかになった部門間のズレを整理します。

  • ISと営業の引き渡し基準は明文化する
  • マーケが生成したリードの温度感をどう評価するか統一する
  • CSがフォローするタイミングや条件を明確にする

これにより、部門間の摩擦を減らし、誰がどのタイミングで何をやるのかが明確になります。

特にBtoBでは、プロセスの曖昧さが商談化率や受注率に直結するため、最初にここを固めることが重要です。

STEP3:North Star KPIの設定

事業全体の「北極星指標」を設定し、各部門のKPIを紐づけます。

  • 例:商談化率・受注率・リード対応速度・LTV/CAC
  • 部門ごとの指標を増やしすぎない(最初は3つ程度に絞る)
  • 共通の指標を中心にレビューを行うことで、組織全体の目線を揃える

これにより、部門間の指標のばらつきによるサイロ化を防ぎ、組織全体で売上改善の優先度を共通理解できます。

北極星指標とは?BtoBインサイドセールスで成果を最大化するKPI設計の実務ガイド

STEP4:プロセス標準化とSLAの整備

ここでは、現場の動きを標準化し、改善サイクルを回す土台を作ります。

  • フェーズ定義
    どの条件でフェーズが進むのか、失敗・保留の条件は何かを明文化します。

  • 引き継ぎ基準
    IS→営業へのリード引き渡し、営業→CSへの商談完了の基準を整理します。

  • 失注理由分類
    なぜ受注できなかったかを統一的に記録・分析できるようにします。

この段階でSLA(部門間合意事項)として文書化することで、プロセス遵守の透明性と再現性が高まります。

STEP5:MA/SFA/CRMのデータ整備

データはRevOpsの心臓部です。ツールを入れるだけでなく、運用ルールも整備します。

  • 入力ルールの統一(必須項目・選択肢の整備)
  • 重複登録の排除
  • ダッシュボードやレポートの再構築
  • データ更新の頻度や責任者の明確化

これにより、意思決定に使える“信頼性の高いデータ”が現場で活用可能になります。

STEP6:定点レビューの運用

改善は一度行っただけでは定着しません。

  • WBR(Weekly Business Review)で短期改善の振り返り
  • MBR(Monthly Business Review)で中期KPIとプロセス改善をレビュー

レビューサイクルを回すことで、プロセス改善が持続可能な形で組織に根付きます。

組織規模別:3つのRevOpsモデル

① スタートアップ初期(20〜50名)

  • ISマネージャーや営業企画が兼任
  • まずはプロセス設計に集中
  • KPIは絞る

② ミドルステージ(50〜200名)

  • RevOps担当者を配置
  • ダッシュボード改善
  • 部門間SLAの設計

③ エンタープライズ(200名〜)

  • 専任のRevOps組織を設置
  • データチームと連携し、リアルタイムでKPI可視化
  • CS領域まで含めて売上プロセスを統合

まとめ:RevOpsでBtoB営業・収益を最大化するために

RevOpsは単なる理論やツールではなく、マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスを一気通貫で最適化する“事業運営の仕組み”です。

BtoB企業においては、部門間のサイロや属人化したプロセス、データの非連携が売上成長の大きな阻害要因となるため、RevOpsの導入が特に有効です。

まとめると、重要なポイントは以下の通りです。

  1. 売上プロセスを可視化・標準化する
    SQL→SAL→商談→受注までの流れを明確にし、各部門が同じ基準で動けるようにします。

  2. KPIとデータを共通言語として整備する
    部門ごとの指標の不一致やデータの不整合を解消し、意思決定を正確に行える環境を整えます。

  3. インサイドセールスを中心にプロセス運用を強化する
    マーケと営業の境界面に立つISが改善ポイントとなり、商談化率や初回接触速度の向上が短期的に期待できます。

  4. 段階的な導入と改善サイクルを回す
    棚卸→SLA策定→データ整備→パイロット運用→全社展開というステップで進め、改善を持続させます。

  5. 組織規模に応じたモデルを設計する
    小規模からエンタープライズまで、役割やチーム構成を柔軟に変え、現場で実践できる体制を作ります。

最後に

RevOpsを正しく導入すれば、組織全体で売上を安定的に伸ばす仕組みを作ることができます。特にBtoB企業では、まずインサイドセールスのプロセス改善から着手することで、商談化率や受注率の短期改善につなげられます。

当社のインサイドセールス支援サービスを活用することで、現場の負荷を軽減しながら、RevOpsの導入効果を最大化することが可能です。

  • MQL・SQLの定義整理や引き継ぎフローの標準化
  • 初回接触速度の改善や商談化率向上のためのプロセス設計
  • MA/SFA/CRMの運用ルール策定とデータクレンジング支援
  • ISプレイブックの作成・現場教育による再現性の確保

これにより、現場の属人化を解消し、部門間の連携がスムーズになるため、RevOpsの効果をすぐに実感していただけます。ぜひこちらの資料をご覧ください。

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