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Tierとは?BtoB営業/インサイドセールスで使える階層設計法

BtoB営業の現場では、「どの企業にどれだけの時間とリソースを投下するべきか」という判断が成果を大きく左右します。しかし、多くの営業組織では顧客の重要度が曖昧で、やみくもにアプローチしてしまいがちです。
そこで鍵になるのが、アカウント(企業)ごとに優先度を体系的に分ける「Tier(ティア)」という概念です。本記事では、Tierの意味、設定方法、営業・インサイドセールスでの活用法まで、実務で使える形で徹底解説します。

目次[非表示]

  1. 1.はじめに:営業リソースの最適化に課題を感じていませんか?
  2. 2.Tierとは?BtoB営業での意味と役割
    1. 2.1.Tier(階層・等級)の基本概念
    2. 2.2.Tierと関連概念の違い
    3. 2.3.Tierを設定する理由:リソースの戦略的配分
    4. 2.4.Tier別の定義と運用例
  3. 3.インサイドセールス視点でのTier別施策
    1. 3.1.TierとABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の関係
  4. 4.Tier設計から実行までのステップ
    1. 4.1.ステップ1:データ収集とアカウント分析
    2. 4.2.ステップ2:Tier階層の設計とKPI設定
    3. 4.3.ステップ3:リソース配分と営業・マーケ連携
    4. 4.4.ステップ4:モニタリングと階層の見直し
  5. 5.まとめと今後の活用展望

はじめに:営業リソースの最適化に課題を感じていませんか?

BtoB営業では、限られた営業・インサイドセールスリソースを効率的に活用することが求められます。

「売上が高い企業なのに手薄になってしまった」「潜在成長企業を見逃してしまった」――このような経験はありませんか?

こうした課題に対処するために有効なのがTier(ティア)による顧客階層化です。

Tierを使えば、顧客を戦略的にランク分けし、リソース配分を最適化することで営業効率と成果を両立できます。

Tierとは?BtoB営業での意味と役割

Tier(階層・等級)の基本概念

「Tier(ティア)」とは、英語で“階層”や“層”を意味します。ビジネスの現場では、顧客・アカウント・市場・リードなどを重要度や収益性の観点からランク分けする指標として使われます。

特にBtoB営業の世界では、「どの企業に、どの程度のリソースを投下するか」を明確にするために欠かせないフレームワークです。

マーケティングでは「リードスコアリング」が使われますが、Tierはより企業単位(アカウント単位)での優先順位づけを目的とします。

Tierと関連概念の違い

Tierは「顧客ランク付け」や「セグメンテーション」と混同されることがあります。違いを整理すると以下の通りです。

概念

内容

特徴

セグメンテーション

顧客を属性で分類する

分類のみ、行動指針には直結しない

Tier

顧客を重要度・価値で階層化

分類に基づき営業プロセスやリソース配分に直結

リードスコアリング

個別リードの価値を数値化

見込み度合いを定量化、企業単位ではない

Tierを設定する理由:リソースの戦略的配分

BtoB営業では、すべての見込み顧客に同じ熱量でアプローチするのは非効率です。Tierを設定することで、営業・インサイドセールスリソースを戦略的に振り分けられます。

Tier

定義

対応方針

代表的な活動例

Tier1

最重要アカウント
売上貢献度・戦略的価値が高い

経営層アプローチ/個別提案

オーダーメイド提案・役員層商談

Tier2

成長が見込める主要顧客群

定期接点+パーソナライズ情報提供

定期商談・ホワイトペーパー提供

Tier3

接点維持目的のライト顧客群

自動化・ナーチャリング中心

メール配信・ウェビナー誘導

Tierを設計することで、「どの顧客にどれだけのエネルギーを割くか」を定量的に整理でき、営業効率と成果の両立を実現できます。

Tier別の定義と運用例

Tierの分け方は業界や商材によって異なりますが、一般的には次のような基準が使われます。

分類基準

指標例

売上貢献度

取引金額・LTV・利益率

戦略的価値

市場影響力・他顧客への波及効果

取引潜在力

成長率・導入余地・意思決定速度

関係性レベル

既存取引の深さ・意思決定者との関係性

営業組織としてTierを定義する際には、これらの複数指標を掛け合わせたスコアリングモデルを設計するのが効果的です。

インサイドセールス視点でのTier別施策

Tierは、単なるラベルではなく戦略的な運用指針です。インサイドセールスチームが関与する場合、TierごとにKPI・KGIの設定も変わります。

Tier

主担当

目標KPI

代表施策

Tier1

フィールド営業+インサイドセールス共同

役員層商談化率

ABMメール・個別イベント招待

Tier2

インサイドセールス中心

商談創出数

ナーチャリング・業界別ウェビナー

Tier3

マーケティング

リード反応率

MAによる自動配信・スコアリング連携

Tierを明確化することで、インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担が明瞭になり、商談化率の最大化につながります。

TierとABM(アカウント・ベースド・マーケティング)の関係

ABM(Account-Based Marketing)は、特定企業(アカウント)をターゲットとし、個別最適なマーケティング・営業活動を行う戦略です。TierはABMを実行するうえでの“階層マップ”に相当します。

つまり、

  • Tier1=ABMの“コアターゲットアカウント”
  • Tier2=将来的なABM対象候補
  • Tier3=スケール型マーケティング対象

という構造で運用すれば、ABM戦略を段階的にスケールさせる基盤になります。

ABMとは?アカウント・ベースド・マーケティングの基本を解説

Tier設計から実行までのステップ

ステップ1:データ収集とアカウント分析

Tier設計の第一歩は、既存顧客・見込み顧客データの整理と分析です。具体的には以下のような観点でデータを可視化します。

分析軸

内容

経済的価値

年間取引額・利益率

組織規模

従業員数・資本金・事業拠点数

成長性

売上推移・業界トレンドとの整合

関係性

商談履歴・接点数・意思決定スピード

CRMやMAツール(例:Salesforce・Account Engagement)を活用し、データをスコア化しておくと後のTier分類がスムーズになります。

ステップ2:Tier階層の設計とKPI設定

分析結果に基づき、Tierごとの基準とKPIを設計します。このとき、定量指標+定性評価(戦略重要度など)を組み合わせるのがポイントです。

Tierを単に「売上順」で決めてしまうと、潜在成長力を見落とすリスクがあります。

ステップ3:リソース配分と営業・マーケ連携

Tier設計後は、組織全体で「どのTierに誰がどれだけの時間を割くか」を明文化します。たとえば、以下のような配分が一般的です。

Tier

営業リソース配分

マーケ施策比率

Tier1

50%(重点対応)

20%(支援型)

Tier2

30%

40%

Tier3

20%

40%(自動化中心)

営業とマーケティングの連携が曖昧だと、Tier設計は形骸化します。週次の“Tier別パイプライン会議”などを設け、共通指標でPDCAを回す仕組みを作ることが重要です。

ステップ4:モニタリングと階層の見直し

Tierは一度決めたら終わりではなく、四半期単位での見直しが必要です。

市場環境や顧客戦略の変化に応じて、Tierを動的に更新することで、営業活動全体が常に“最適化”されます。

まとめと今後の活用展望

Tier設計は、BtoB営業組織が戦略的に顧客を選び、成果を最大化するための基本構造です。

とくに、

  • 限られた営業リソースを最適化したい
  • ABMやインサイドセールスを本格導入したい

という企業にとって、Tier運用は最初の投資対効果を高める起点になります。

まずは既存顧客・見込み顧客を分析し、簡易Tier表を作ることから始めましょう。最小限のステップでも、営業効率と成果の改善が期待できます。

Tierの設計・運用を通じて、「量」から「質」への営業転換を実現し、企業成長を支えるセールスモデルを構築していくことが、これからのBtoB企業に求められる視点です。


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