
営業の成果を変える「カスタマーエクスペリエンス」とは|BtoB企業の新しい競争軸
BtoB企業において「カスタマーエクスペリエンス(CX)」は、競争優位性を左右する重要な要素になっています。従来の営業は、リード獲得数や商談件数など、社内指標を中心に評価されることが多かったです。
しかし、市場環境が成熟し、顧客の購買意思決定プロセスが複雑化した現在、成果を上げるためには顧客体験そのものの質を高める戦略が欠かせません。
多くのBtoB企業では、営業担当者の個人スキルや顧客への訪問回数だけで成果を測る傾向がありました。しかし、デジタル接点の増加や意思決定者の多様化により、営業活動だけでは顧客の期待に応えきれない場面が増えています。
その結果、体験の質が競争力の決め手となり、CX戦略の重要性が高まっているのです。本記事では、CXの定義・背景・重要性に加え、BtoB企業で実践できる具体的なフレームワークと施策を詳しく解説し、営業成果の向上につなげる方法を紹介します。
目次[非表示]
- 1.カスタマーエクスペリエンス(CX)とは
- 1.1.CXの基本定義
- 1.2.顧客満足・カスタマーサクセスとの違い
- 1.3.BtoBにおけるCXの特徴
- 2.なぜいまBtoB企業でCXが重要なのか
- 2.1.購買行動の変化
- 2.2.価格競争から体験競争へ
- 2.3.CXが業績に与える影響
- 3.BtoB企業におけるCX向上のフレームワーク
- 3.1.CX向上の重要性と指標
- 3.2.CX向上のステップ
- 3.3.CX評価の指標
- 4.まとめ:BtoB営業のCX戦略
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは
CXの基本定義
カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が企業やブランドと接触するすべての体験(タッチポイント)を通じて感じる印象や価値の総体です。
BtoBでは、初回商談、契約交渉、導入サポート、運用保守、アップセルまで、長期にわたるあらゆる接点がCXに含まれます。
特に複数の意思決定者や影響者が関与する取引において、体験設計の重要性は非常に高いです。具体的には、以下のようなタッチポイントがCXに影響します。
- 初回ウェブサイト訪問や資料ダウンロード
- 営業担当者との電話・オンライン商談
- 提案資料・見積もりの受領
- 契約締結プロセスのスムーズさ
- 導入・設定サポート
- 定期的なフォローアップやアップセル提案
参考:Challenger Inc.「How B2B Buyers Make Purchase Decisions」では、BtoB購買には平均10名以上の関係者が関与すると報告されています。
顧客満足・カスタマーサクセスとの違い
CXはしばしば顧客満足(CS)やカスタマーサクセス(CSu)と混同されがちですが、明確な違いがあります。
CXは契約前も含めた全接点戦略であり、営業プロセスそのものも顧客体験の一部であると理解することが重要です。
BtoBにおけるCXの特徴
BtoBでは営業活動そのものが体験設計の一部になるため、接触ポイントごとの質が成果に直結します。
なぜいまBtoB企業でCXが重要なのか
購買行動の変化
BtoBの購買プロセスは長期化・複雑化しています。決裁者・影響者が多数存在するため、従来型の「営業主導・対面中心」だけでは顧客の期待に応えられないことが増えています。
加えて、デジタル接点やセルフサービスを活用した購買体験も求められています。
- 中規模企業:平均120日
- 大手企業:平均400日以上
価格競争から体験競争へ
BtoB市場でも、製品や価格だけでは差別化が難しい状況です。体験の質がブランドの競争力を決定する時代になっています。
- CX注力企業は収益成長率80%向上
- 顧客の86%が「優れた体験には高価格を支払う意欲がある」と回答
CXが業績に与える影響
デジタル接点増加と体験の分断リスク
デジタルチャネルの増加により、接点ごとの体験が分断されるリスクがあります。
- モバイルオーダーは250%増加
- B2B CX指数はB2Cに比べ50%未満
分断された体験は、顧客離脱や商談遅延の原因になりかねません。そのため、オンライン・オフラインを統合したCX設計が求められます。
BtoB企業におけるCX向上のフレームワーク
CX向上の重要性と指標
収益成長 | CX注力企業は競合より80%速く成長します。 |
顧客維持率 | 顧客維持率が51%向上します。 |
価格プレミアム | 顧客が16%追加で支払う意欲があります。 |
CX向上のステップ
1. 顧客理解の深化
顧客の課題、ニーズ、期待を分析し、営業・マーケティング・カスタマーサクセスで共通理解を持つことが重要です。顧客インタビューやアンケート、商談記録分析などを組み合わせると、より精度の高い顧客理解が可能になります。
2. 一貫したコミュニケーション
営業・CS・マーケティングが連携し、統一されたメッセージを提供します。契約前の提案資料と契約後の導入マニュアルで情報が齟齬しないよう統一することがポイントです。これにより、顧客は企業とのやり取りにストレスを感じず、安心感が増します。
3. デジタルツールの活用
CRM、MA、AIチャットボットなどを活用して、迅速かつパーソナライズされた体験を提供します。例えば、営業担当者が不在でも、AIチャットボットで基本的な問い合わせに即回答することで、顧客満足度を高められます。
4. 継続的改善の文化
CXは一度改善しただけでは不十分です。フィードバックに基づき、定期的にプロセス改善を行う文化を醸成することが求められます。社内でCX改善プロジェクトを定期的に回し、改善成果をKPIとして可視化すると効果的です。
CX評価の指標
指標 | 説明 | 活用ポイント |
NPS | 顧客が他者に推薦する意欲を測定します。 | 全社の体験改善の方向性を把握できます。 |
CSAT | 接点ごとの満足度を測定します。 | 個別施策の改善効果を確認できます。 |
CES | 顧客が要した努力を測定します。 | サービスやプロセスの効率性を評価できます。 |
さらに、BtoBでは商談化率、リード対応速度、契約締結期間などの営業KPIをCX評価に組み込むと、より現場で実践可能な指標になります。
まとめ:BtoB営業のCX戦略
本記事では、BtoB企業におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)が営業成果に直結する重要性を解説しました。顧客接点の設計やプロセス改善により、受注率や顧客維持率の向上が可能です。
しかし、多くの企業では「どの接点から改善すべきか」「社内で統一した体験設計をどう実現するか」という課題に直面しやすくなっています。
こうした課題に対しては、単発の改善ではなく、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断した構造設計が成果につながる鍵となります。
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