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デマンドセンターとは? 仕組み・役割・BtoB企業が導入すべき理由を徹底解説

営業DXやインサイドセールスの注目が高まる中で、「デマンドセンター(Demand Center)」という言葉を耳にする機会が増えました。

マーケティング部門の延長と捉えられがちですが、実際は 「マーケと営業をつなぐ、売上をつくるための仕組み」 です。

本記事では、BtoB営業の現場を支援してきた立場から、

  • デマンドセンターの定義
  • 注目される背景
  • 具体的な仕組みと構成要素
  • 構築のステップ
  • 成功事例と実践ポイント

をわかりやすく整理して解説します。


目次[非表示]

  1. 1.デマンドセンターとは?BtoB営業を変える「リード創出と連携」の中核組織
    1. 1.1.デマンドセンターの定義
  2. 2.なぜ今、デマンドセンターが注目されているのか
    1. 2.1.MA・CRMの普及で「分断」が可視化
    2. 2.2.営業リソースの最適化ニーズ
    3. 2.3.ナーチャリング文化の未成熟
  3. 3.デマンドセンターの仕組みと構成要素
    1. 3.1.1.リードジェネレーション(集客)
    2. 3.2.2.リードナーチャリング(育成)
    3. 3.3.3.リードクオリフィケーション(選別)
    4. 3.4.4.インサイドセールス連携(商談化)
  4. 4.営業組織との連携ポイント:SMarketingの実現へ
    1. 4.1.共通言語の定義(MQL / SAL / SQL)
    2. 4.2.フィードバックループの設計
  5. 5.デマンドセンター構築の5ステップ(実務での落とし穴と成功の勘所)
    1. 5.1.ステップ1:現状の課題を可視化する
    2. 5.2.ステップ2:役割と責任範囲を定義する
    3. 5.3.ステップ3:MA/CRMなどの基盤を整備する
    4. 5.4.ステップ4:KPI/KGIを設定する
    5. 5.5.ステップ5:運用体制を確立する
  6. 6.実際の企業事例:デマンドセンター導入の成果
    1. 6.1.事例①:製造業A社
    2. 6.2.事例②:IT企業B社
  7. 7.まとめ:デマンドセンターは“仕組みの再設計”であり、BtoB営業の未来を支える要

デマンドセンターとは?
BtoB営業を変える「リード創出と連携」の中核組織

デマンドセンターの定義

デマンドセンター(Demand Center)とは、見込み顧客(リード)の獲得から商談化までを一気通貫で支援する中核組織のことです。

マーケティングが創出したリードを、営業部門が確度高く商談へと転換できるよう、「プロセス」「データ」「体制」を設計・運用するのが主な役割です。

主な目的

内容

リードの質向上

ナーチャリングやスコアリングにより商談化確度を高める。

マーケ・営業の連携強化

MQL/SALなどの定義統一と情報共有。

営業生産性の向上

優先度の高いリードを効率的に供給する。

なぜ今、デマンドセンターが注目されているのか

デマンドセンターが注目を集める背景には、BtoB営業の構造変化があります。

MA・CRMの普及で「分断」が可視化

MA(マーケティングオートメーション)やCRMの導入により、「リードデータの見える化」は進みました。しかし多くの企業では、


「リードは増えているのに商談につながらない」
「マーケと営業が数字を共有していない」


といった“分断”が顕在化しています。

営業リソースの最適化ニーズ

営業人材の確保が難しい中で、限られた営業力をどこに集中させるかが経営課題になっています。

デマンドセンターは、「誰に・いつ・どのように営業をかけるべきか」を可視化し、リソース配分を最適化する役割を果たします。

ナーチャリング文化の未成熟

BtoB企業の多くは、「リード獲得=ゴール」となりがちです。

しかし、実際の購買タイミングは数か月〜数年に及ぶケースも多く、リード育成(ナーチャリング)を体系的に行う体制が不可欠です。

デマンドセンターの仕組みと構成要素

デマンドセンターは、営業活動の前段階すべてを最適化する“仕組み”です。
以下の4つの機能が中心となります。

1.リードジェネレーション(集客)

  • Webサイト・広告・展示会・ウェビナーなどからリードを獲得
  • MAでタグ付けし、属性・行動データを蓄積

2.リードナーチャリング(育成)

  • メール配信・ホワイトペーパー・セミナーで関係を深化
  • 興味度を可視化し、スコアリングに反映

3.リードクオリフィケーション(選別)

  • MAのスコアリング指標+人手による精査
  • 「MQL(Marketing Qualified Lead)」を定義
  • インサイドセールスにパスする基準を明確化

4.インサイドセールス連携(商談化)

  • ISがリードへアプローチし、商談化を目指す
  • 成果はCRM上で可視化し、マーケへフィードバック

▼フロー図イメージ

①マーケティング(リード獲得)

②デマンドセンター(スコア・管理)

③インサイドセールス(商談化)

④フィールドセールス(受注)

この流れを一元的にマネジメントするのがデマンドセンターの役割です。

営業組織との連携ポイント:SMarketingの実現へ

デマンドセンターが機能するかどうかは、営業組織との連携品質で決まります。

共通言語の定義(MQL / SAL / SQL)

マーケと営業が「リードの状態」を異なる基準で判断していると、連携が破綻します。

そのため、MQL(マーケティング有望リード)、SAL(営業受領リード)、SQL(商談リード)をSLA(Service Level Agreement)として明文化し、双方向の責任を明確にします。

フェーズ

担当

成果指標

MQL

マーケティング

リードスコア/反応率

SAL

デマンドセンター

商談化率/引き渡し数

SQL

営業

受注率/売上

フィードバックループの設計

営業側から「質の高いリードだったか」「商談に至らなかった理由」をデマンドセンターへフィードバック。これにより、リードスコアやナーチャリング施策の精度が高まります。

デマンドセンター構築の5ステップ(実務での落とし穴と成功の勘所)

では、実際にBtoB企業がデマンドセンターを立ち上げるには、どんなステップを踏むべきでしょうか?ステップに沿ってご紹介します。

ステップ1:現状の課題を可視化する

デマンドセンター構築の出発点は、「どこにボトルネックがあるか」を明確にすることです。 まずはリードの“流れ”と“質”を見える化しましょう。

主なチェック項目

観点

確認ポイント

典型的な課題例

リード流入経路

Web・広告・展示会・紹介など

獲得チャネルの偏り、ROIが不明

リードの量と質

MQL数・属性・反応率

リードは多いが商談率が低い

フローの引き渡し

マーケ→営業の連携

「熱いリード」が放置される

データ管理

MA・CRM・Excelの混在

重複・情報欠落・属人化

KPIのズレを洗い出す

マーケ・営業・インサイドセールスそれぞれが、異なる指標を追っているケースが多いです。たとえば、各部門の指標や「ありがちなズレ」には、下記のような要素が挙げられます。

部門

KPI

ありがちなズレ

マーケティング

リード獲得数

“数”重視で質が伴わない

デマンドセンター

商談化率

定義が不明確でブレる

営業

受注率/売上

“数合わせ”の商談が増加

このズレを可視化することで、「どこで成果が止まっているか」「どの指標を共有すべきか」が明確になります。

ステップ2:役割と責任範囲を定義する

デマンドセンターの最大の価値は「部門間の境界を再設計すること」です。つまり、「誰が・どのリードを・どの状態で扱うか」を明確にする必要があります。

役割定義の基本構造

フェーズ

主担当

主な責務

リード獲得

マーケティング

広告・SEO・展示会などのリード創出

リード育成

デマンドセンター

ナーチャリング・スコアリング

商談化

インサイドセールス

電話・メールでの接触/商談設定

受注

フィールドセールス

提案・クロージング

プロセス境界線の明確化

「MQL→SAL→SQL」の移行条件を定義することで、感覚的な“引き渡し”をなくします。
たとえば、移行条件を下記のように定義するとよいでしょう。

  • MQL(Marketing Qualified Lead):フォーム登録後、スコア80点以上
  • SAL(Sales Accepted Lead):ISが架電・反応あり
  • SQL(Sales Qualified Lead):商談化が確定

この線引きを明文化し、SLA(Service Level Agreement)として全員が合意することが重要です。

ステップ3:MA/CRMなどの基盤を整備する

次に、運用を支える「データとツールの仕組み」を整えます。デマンドセンターは、データドリブンに動く組織であるため、ここが甘いと機能しません。

基盤整備の3原則

  1. リード情報の一元管理
    → MA/CRMを中心に、全チャネルのデータを統合。
    (例:フォーム・イベント・広告・営業メモなどをすべて紐づけ)
  2. スコアリングルールの設計
    → 行動(例:資料DL・メール開封)と属性(業種・職位)を掛け合わせ、MQL判定の根拠を明確化。
  3. MAとCRMのAPI連携
    → MAで生成されたスコアやステータスをCRMに自動反映し、IS・営業が同じデータを見て動ける状態を構築。

注意すべき落とし穴

  • 「MA導入=仕組み化完了」と誤解するケースが多い
  • 実際には、運用ルール・データ品質・人の理解度が成果を左右する

ステップ4:KPI/KGIを設定する

デマンドセンターの目的は「売上への貢献」です。そのため、リード数よりもパイプライン全体の質と流れを測る指標が重要になります。

代表的なKPI設計

指標

説明

改善の意味

MQL→SAL率

有望リードの受け渡し率

マーケとISの連携精度

SAL→SQL率(商談化率)

商談化に至った割合

スコアリング・IS対応の質

SQL→受注率

商談の受注転換率

営業活動の最終成果

リード滞留期間

リードが各フェーズに留まる平均日数

プロセスの遅延・ボトルネック検知

CPL(リード獲得単価)

1件あたりのリード獲得コスト

ROIの可視化・予算最適化

KPI設計のコツ

  • 「部門ごと」ではなく「プロセスごと」に設定する
  • 定量指標(率・件数)+定性指標(営業評価・反応率)を組み合わせる
  • 目標は“数値”より“連携の質”を高める意識で設計する

ステップ5:運用体制を確立する

最後のステップは、「誰が運用を回すのか」「どう持続可能にするのか」です。

自社運用と外部支援の選択肢

体制タイプ

メリット

注意点

内製型

ノウハウ蓄積・柔軟な改善

立ち上げ初期は属人化しやすい

外部支援併用型

プロフェッショナルの運用設計を活用

社内の巻き込みが必要

完全委託型

立ち上げスピードが速い

戦略設計が他者依存になる

多くの企業では、初期は外部パートナーと伴走し、徐々に内製化する形が現実的です。

インサイドセールス支援会社を活用するメリット
  • MA運用・スコア設計・架電オペレーションを一気通貫で支援
  • 現場での知見(架電結果・リード反応)を基にPDCAを高速化
  • 自社内にノウハウが定着しやすい

ナレッジ蓄積のポイント
  • MA/CRM上で全アクションをログ化
  • 月次で「商談化までの要因分析」を共有
  • 改善のループを組織的に回す

実際の企業事例:デマンドセンター導入の成果

事例①:製造業A社

  • 部門間でリード定義が異なり、商談化率が8%に停滞
  • デマンドセンター設立後、MQL→商談化率が23%に改善
  • 営業の無駄打ちを削減し、受注単価も向上

事例②:IT企業B社

  • MA導入済みだが運用が属人化
  • 外部支援会社と協働し、MA運用+IS体制を整備
  • 半年で商談数1.8倍、リード活用率2.2倍

成功の共通点は、「ツール導入」ではなく「体制とプロセスの設計」に投資していることです。

まとめ:デマンドセンターは“仕組みの再設計”であり、BtoB営業の未来を支える要

デマンドセンターは、単なるマーケティング部門の拡張ではありません。“営業とマーケの間”に存在し、売上をつくる仕組みそのものを再設計する考え方です。

デマンドセンターがもたらす価値

説明

部門横断の可視化

マーケ〜営業のKPI連携が実現

商談化率の向上

リードの質とタイミングを最適化

営業リソースの最大化

無駄なアプローチを削減

そして、立ち上げ初期は「専任担当がいない」「ノウハウが不足している」と悩む企業が多いもの。そのような場合は、インサイドセールス支援会社MA運用代行など、外部パートナーを活用しながら体制を整えるのが現実的です。

▼エンSXセールスのインサイドセールス支援▼

貴社の営業・マーケティング連携に課題があるなら、デマンドセンター構想が第一歩です。
リードを“つくって終わり”にせず、“売上につなげる仕組み”を一緒に設計していきましょう。


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