
営業利益とは? 計算方法・経常利益や粗利との違い・上げる方法を解説
営業利益とは、企業や個人事業主が「本業で稼いだ利益」のことです。営業利益は決算書類のひとつである「損益計算書」に記載される項目のうち、事業者の収益力の評価材料になる要素として、注目される金額といえます。
しかし経常利益や粗利など、営業利益と似ている用語がいくつか存在するため、「どういう意味だろう?」と混乱してしまう方も多いでしょう。
そこで本記事では、営業利益についてわかりやすく解説します。営業利益の計算方法や、ほかの利益との違い、営業利益を上げる方法についてもご説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.営業利益とは?
- 2.営業利益の計算方法・計算式の要素
- 2.1.売上高
- 2.2.売上原価
- 2.3.販売管理費(販管費)
- 3.営業利益を上げる方法
- 3.1.売上高をアップさせる
- 3.2.販売数量を増加させる
- 3.3.販売価格を高くする
- 3.4.売上原価を下げる
- 3.5.販売管理費を見直す
- 3.6.営業代行サービスを活用する
- 4.営業利益とほかの利益の違い
- 4.1.営業利益と売上総利益(粗利)の違い
- 4.2.営業利益と経常利益の違い
- 4.3.営業利益と税引前当期純利益の違い
- 4.4.営業利益と当期純利益の違い
- 5.まとめ:営業利益を効率的に高めるポイント
営業利益とは?
営業利益とは、企業や個人事業主が本業で稼いだ利益のことです。個人事業主の場合は、所得金額が営業利益に該当します。
本業とは、主軸となる事業の営業活動を指します。たとえば飲食店ならば、メインの商材となる飲食物を販売して稼いだ利益が、営業利益となります。
営業利益は決算書類のひとつである「損益計算書」に記載されます。「事業者の収益力がどれくらいあるか」を判断する材料となるため、注目される金額です。
営業利益の計算方法・計算式の要素
営業利益は、売上総利益から販売管理費を引いた金額のことです。売上総利益は、売上高から売上原価を引いて算出します。
▼売上総利益を求める計算式 |
以降で、営業利益を計算するために必要な「売上高・売上原価・販売管理費」について詳しく解説します。
売上高
売上高とは、事業者が本業(主軸となる事業の営業活動)で稼いだ売上金額の総額を指します。単に「売上」と呼ばれるケースもあります。
売上原価
売上原価とは、事業者が売上を上げるためにかかった費用(=原価)のことです。たとえば以下のような費用が、売上原価に当たります。
・小売業における仕入高
・製造業における原材料費
なお、売上原価はあくまでも「売上が上がった分に対して直接かかった費用」です。仕入れにかかった費用や原材料費などは、売り上げが上がるまでは「在庫資産」という扱いになるため、売上原価としては計上しないので気を付けましょう。
販売管理費(販管費)
販売管理費(販管費)とは、販売費と一般管理費を合わせた費用のことです。販売費は商品・サービスを販売するために必要な費用のこと。たとえば以下のような費用が、販売費に該当します。
▼販売費に該当する費用 |
・広告宣伝費 |
また、一般管理費とは、企業全体を運営するために必要な費用を指します。たとえば以下のような費用が、一般管理費に当たります。
▼一般管理費に該当する費用 |
・事業所の家賃や水道光熱費 |
営業利益を上げる方法
<監修コメント>
営業利益を高めるためには、単純な売上拡大に加えて、コスト構造の見直しと業務効率化が欠かせません。まず注目すべきは売上総利益の確保です。商品やサービスの単価設定を最適化しながら、原価率を抑える工夫を行うことで、利益率のベースが固まります。次に重要なのは販管費のコントロールです。たとえば広告費や人件費、外注費などを定期的に精査し、効果に見合った使い方ができているかを判断する必要があります。また、営業活動のプロセスを見直し、非効率なステップや属人化された業務を削減することで、成果に直結するリソースの配分が可能になります。さらに、利益率の高い商材や取引先への注力、受注から納品までの工数短縮なども有効な手段といえます。数字だけにとらわれず、本質的な生産性改善に向き合うことが営業利益の向上には不可欠です。
ここからは、営業利益を上げる方法について解説します。営業利益を上げるために効果的な方法を5つ紹介しますので、運営にお役立てください。
営業計画の立て方を学んで、成果につなげる準備をしよう
営業利益を向上させるには、日々の施策だけでなく、計画的かつ戦略的な営業活動の設計が欠かせません。
具体的な行動に移す前に、まずは営業計画の立て方をしっかり押さえ、成果に直結するアクションプランを構築しましょう。
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売上高をアップさせる
営業利益を上げるためには、売上高をアップさせることが有効です。ただし、売上高をアップさせるには、以下のような取り組みが必要となります。
・販売数量を増加させる
・販売価格を上げる
・販売数量と販売価格を両方上げる
販売数量を増加させる
販売数量を増加させることができれば、販売価格を変えずとも、売上高が上がるようになります。ただし、販売数量を増やすためには「商品の仕入れ数を増やす」「商品の製造数を増やす」などの取り組みが必要です。
販売数量を増やすには、仕入れのための売上原価や商品製造にかかる人件費なども増やさなくてはならないため、経費も増加する点に注意しましょう。
販売価格を高くする
売上単価を高くすれば、販売数量が変わらなくても、売上高が上がります。現在の販売価格が適正かどうかを見直してみるとよいでしょう。
ただし、単純に販売価格を吊り上げるだけでは、顧客離れが生じる可能性もあります。値上げによる顧客離れを防止するため、「商品の付加価値を高める」「価格改定の理由を顧客へ丁寧に説明する」などの対策を講じる必要があるでしょう。
売上原価を下げる
営業利益を向上させる取り組みのひとつとして、売上原価を下げることも有効です。売上原価が下がれば、販売価格を変えずとも、売上高を上げることが可能となります。
売上原価を下げるための取り組みには、以下のようなものが挙げられます。
・原材料などを大量発注して単価を下げる
・原材料の品質を下げても問題ないか見直す
・商品製造の工程を見直して、コストダウンを図る
・商品の仕入れ先を見直して、安い仕入れ先に変更する
ただし、やみくもに原材料を安価な物へ変更したり、商品のクオリティを下げたりすると、ユーザーが離れてしまう可能性もあります。商品の安全性も低下してしまう恐れがあるため、見直しは慎重に行ないましょう。
販売管理費を見直す
販売管理費を見直すことも、営業利益の向上につながります。たとえば以下のような取り組みを行なうと、販売管理費を削減できるでしょう。
・法人向けWi-Fiの契約先を変更して通信費を下げる
・事務所を縮小したり、別の場所へ移したりして家賃を下げる
・広告の効果測定を行ない、効果的な広告手法のみ利用継続する
上記のような取り組みを実施することにより、販売管理費を下げられれば、企業の運営にかかる費用が減るため、営業利益を上げられるでしょう。
営業代行サービスを活用する
営業利益を増やすため、外部の営業代行サービスを活用するという手法もあります。営業代行サービスとは、クライアントに代わって営業活動の一部または全部を代行するサービスのことです。
「営業活動はすべて社内の人員で行なったほうが、コストが安くなり、利益が増えるのでは?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし意外にも、外部の営業代行サービスを活用することで、自社の営業担当者が商談などのコア業務に専念できるようになるため、結果的に営業利益を増やせる場合があるのです。
たとえばアポイントをとるための営業電話や営業メールを、自社の正社員が担当している場合、正社員が稼働している分の人件費がかかります。正社員の人件費と比べて、営業代行サービスの利用料金が安価である場合は、営業電話や営業メールを外部業者へ切り出したほうがよいでしょう。
営業電話・営業メールなど、外部に委託できる範囲の営業活動を代行サービスへ切り出すことにより、自社の正社員が商談準備などのコア業務に専念できるようになります。結果的に商談を最大化でき、成約販売数を増やせる可能性があります。
営業利益とほかの利益の違い
<監修コメント>
営業利益は、売上高から売上原価と販売管理費を差し引いた「本業による儲け」を示す指標です。一方で、経常利益や当期純利益といったほかの利益指標は、財務活動や特別要因を含むため、より広い視点での企業収益性を評価するものとなります。たとえば経常利益には受取利息や支払利息などの営業外収支が含まれており、本業に加えた財務面の影響も反映されます。また、当期純利益は税金や特別損益なども加味された最終的な収益となり、株主への利益配当の原資としても重要な指標です。このように、営業利益は企業の事業モデルや営業活動の健全性を測るための「核」となる利益であり、改善策を考える際の起点にもなります。財務分析では、それぞれの利益指標の違いを理解し、目的に応じて使い分けることが求められます。
営業利益のほかにも、経常利益や売上総利益など、事業者の利益を表す用語が複数あります。ここからは、営業利益とほかの利益の違いを解説します。
営業利益と売上総利益(粗利)の違い
売上総利益は粗利益とも呼ばれます。売上総利益(粗利)は、売上高から売上原価を引いた金額のことです。営業利益とは異なり、販売管理費は差し引きません。
▼売上総利益を求める計算式 |
営業利益と経常利益の違い
経常利益とは、企業が通常行なっている業務で得た収益のこと。本業で稼いだ営業利益に、営業外収益を足し、そこから営業外費用を差し引いて算出します。
▼経常利益を求める計算式 |
営業外収益とは、本業以外の活動によって得た収益のことです。たとえば「企業が保有する株式から発生した配当金」「貸付金の利子」などが営業外収益に該当します。営業外収益は、主に企業の財務活動から発生するケースが多い収益です。
また、営業外費用とは、本業以外の活動で発生した費用を指します。具体的には企業が借入をしたときの利息や、株式を売却した際の売却損などが、営業外費用に該当します。営業外費用も、企業の財務活動から生じるケースが多いものです。
営業利益と税引前当期純利益の違い
税引前当期純利益とは、税引前利益とも呼ばれ、法人税や事業税などの税金を差し引く前の段階での利益を指します。税引前当期純利益は、事業者が本業で稼いだ利益だけでなく、一時的な損益である「特別利益・特別損失」も含んだ金額です。
▼税引前当期純利益を求める計算式 |
特別利益とは、企業が保有する株式や証券を売却した際に生じる売却益など、臨時的に発生した利益のことです。また特別損失は、災害による損失や商品の盗難などにより、臨時的に発生した損失を指します。
営業利益と当期純利益の違い
当期純利益とは、企業がある特定の会計期間において事業活動で得た収益から、すべての経費や税金を差し引いた純利益のことです。当期純利益がプラスである場合、該当の会計期間は黒字だったという結果になります。
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税などの税金を差し引いたうえで、法人税等調整額を加減算して算出します。
▼当期純利益を求める計算式 |
まとめ:営業利益を効率的に高めるポイント
営業利益は、本業で稼いだ利益を示し、売上高・売上原価・販売管理費のバランスが重要です。売上アップやコスト削減の具体策を実践することで利益向上が可能です。
多くの企業で「営業活動にかかるリソース配分が最適化できず、効率的に利益を伸ばせない」という課題が見られます。
この課題解決には、営業プロセス全体を見直し、構造的な仕組みづくりを進めることが成果につながるポイントです。
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