メラビアンの法則とは?正しい内容とビジネスシーンでの活用方法を解説
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した、対人コミュニケーションにおける法則のことです。メラビアンの法則は、営業や会議など、さまざまなシーンで活用されています。
本記事では、メラビアンの法則について、概要や活用方法などを解説します。メラビアンの法則は誤解されやすい点があるため、誤用しないためのポイントについてもお伝えします。ぜひ本記事を参考に、メラビアンの法則を円滑なコミュニケーションにご活用ください。
目次[非表示]
- 1. メラビアンの法則とは?
- 1.1.言語/非言語コミュニケーション
- 1.2.3Vの法則(7-38-55ルール)
- 1.3.メラビアンが行なった2つの実験方法
- 2.メラビアンの法則にありがちな誤解
- 3.メラビアンの法則を活かした「相手に伝わる」話し方
- 4.メラビアンの法則をビジネスシーンで活用する方法
- 4.1.電話
- 4.2.営業・商談
- 4.3.メール・チャットツール
- 4.4.会議・プレゼンテーション
- 4.5.部下とのコミュニケーション
- 5.まとめ
メラビアンの法則とは?
メラビアンの法則とは、「対人コミュニケーションにおいて、言葉に対して声色や表情などが矛盾していた場合に、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与える」という心理学上の法則のことです。
1971年、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンにより提唱されたこの法則。具体的な一例を挙げると、言葉では「楽しい」と言いながらも、その人の表情が不機嫌である場合、コミュニケーションを取っている相手から、「本当は楽しくないのではないか?」と思われる可能性が高いということを表しています。
以下に表でまとめましたので、参考にしてください。
情報の種類 |
概要 |
相手に影響を与える割合 |
言語情報(Verbal) |
話の内容・言葉 |
7% |
聴覚情報(Vocal) |
声の大き・話すスピードなど |
38% |
視覚情報(Visual) |
表情・視線・見た目・仕草など |
55% |
言語/非言語コミュニケーション
対人コミュニケーションには、以下のように2つのパターンがあります。
コミュニケーションのパターン |
概要 |
言語コミュニケーション |
言葉によるコミュニケーションのこと。 |
非言語コミュニケーション |
表情や声色、ジェスチャーなどの非言語による コミュニケーションのこと。 |
アルバート・メラビアンは、言葉に対して表情などが矛盾していた場合に、「言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与える」と提唱しています。
言語による直接的なコミュニケーションだけでなく、表情・声・ジェスチャーなどの非言語コミュニケーションにも配慮したほうが、相手と円滑に意思疎通できるといえるでしょう。
自分が伝えたい内容を正確に相手へ伝えるためには、言語情報・聴覚情報・視覚情報のすべてに矛盾がない状態をつくる必要があります。
3Vの法則(7-38-55ルール)
メラビアンの法則は、「3Vの法則」や「7-38-55のルール」とも呼ばれています。3Vとは「言語情報(Verbal)・聴覚情報(Vocal)・視覚情報(Visual)」の頭文字を取った呼び方です。
「7-38-55のルール」は、言葉に対して態度などが矛盾していた場合に、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与えることから、各数値を取った呼び方となっています。
メラビアンが行なった2つの実験方法
アルバート・メラビアンは、対人コミュニケーションにおいて言語情報・聴覚情報・視覚情報が矛盾している場合、どの情報がより相手に影響を与えるか検証するため、以下2つの実験を行ないました。
▼実験① 「maybe(そうかもしれない)」と言うときの表情や口調を変える
被験者にさまざまな口調や表情で「maybe(そうかもしれない)」という言葉を聞かせたとき、どのように印象が変化するかを検証。強い口調の「maybe(そうかもしれない)」を聞いたときのほうが、より説得力が増したという実験結果になりました。
▼実験② 異なる印象の写真と音声を組み合わせる
まず、視覚情報として「好意」「嫌悪」「中立」を示す表情の顔写真を1枚ずつ用意。次に、言語情報として「好意」「嫌悪」「中立」を連想させる単語を各イメージにつき3つずつ、計9つ用意しました。
続いて、選定した9つの単語をそれぞれ「好意」「嫌悪」「中立」を表現した音声で録音し、聴覚情報も用意。被験者に、視覚情報・言語情報・聴覚情報が矛盾している組み合わせで音声を聞いてもらい、どのような印象を受けるか検証しました。
たとえば、各情報が矛盾している組み合わせとは、以下のような状態を指します。
・顔写真=「嫌悪」を表したもの
・音声=「中立」を表したもの
・単語=「好意」を連想させるもの
この実験では、顔写真が被験者にもっとも影響を与え、次に音声、単語の順で印象が残るという結果が得られました。
メラビアンは上記2つの実験結果から、言葉・声色・表情などが矛盾している場合、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与えるという法則を導き出しました。これが先述したメラビアンの法則です。
メラビアンの法則にありがちな誤解
メラビアンが行なった実験では、視覚情報の影響が大きいという結果が出ています。そのため、メラビアンの法則は「言語よりも非言語のほうが重要」「話の内容よりも見た目が大事」などのように誤解されがちです。
しかし、メラビアンの実験は、あくまでも言語情報・聴覚情報・視覚情報が矛盾している場合に、どの情報がより優先的に相手へ影響を与えるか調べたものです。特殊な状況下で行なった実験であるため、普段の会話でメラビアンの法則が必ず当てはまるわけではありません。
メラビアンの法則は、円滑なコミュニケーションを図るために重要な法則ですが、言語情報を軽視するものではないという点に注意しましょう。自分が伝えたいことを正確に伝えるには、言語情報・聴覚情報・視覚情報のすべてに矛盾がない状況をつくることが大切です。
メラビアンの法則を活かした「相手に伝わる」話し方
ここからは、メラビアンの法則を活かした「相手に伝わる」話し方を解説します。コミュニケーションを取る際、以下の3つを意識すると、自分の言いたいことが相手に伝わりやすくなるでしょう。
言葉だけでなく表情やジェスチャーも加える
人とコミュニケーションを取る際、言葉だけでなく表情やジェスチャーにも気を配ると、自分の意図が相手に正しく伝わりやすくなります。
たとえば相手の提案に対し、自分が肯定の意味で「そうですね」と伝えたいと仮定します。この場合、笑顔で「そうですね」と言えば、肯定の意思が伝わりやすいでしょう。
しかし、無表情で「そうですね」と言うと、発している言葉は同じでも、肯定の意思が相手に伝わりにくくなってしまいます。自分の考えが正確に伝わるよう、表情や身振り手振りにも気を配りましょう。
伝えたい内容に合わせて声のトーンや抑揚を変える
対人コミュニケーションでは、自分が伝えたいことに合わせて声のトーンや抑揚を変えることも重要です。
たとえば、大変な状況に置かれている相手を労わったり、励ましたりしたいとき。落ち着いた優しい声や、明るい声などで話しかければ、相手に自分の意思が伝わりやすいでしょう。
しかし、声のトーンが暗く不機嫌だったり、話し方に抑揚がなく棒読みだったりすると、「相手を労わりたい・励ましたい」という意思が伝わりにくくなります。聴覚情報も対人コミュニケーションにおいて重要なので、伝えたい内容に合わせて、話し方を変えるようにしましょう。
伝えたい内容が伝わる言葉を正確に選ぶ
メラビアンが行なった実験では、「言語情報が相手に影響を与える割合は7%」という結果が出ていました。
しかし、人とのコミュニケーションにおいて、言語は情報伝達の土台となるもの。相手と円滑に意思疎通するためには、自分の伝えたいことがしっかり伝わる言葉を、正確に選ぶことも大切です。
「伝わる言葉」を正確に選んだうえで、声のトーンやジェスチャーなども加えて、情報を肉付けしましょう。言語情報・聴覚情報・視覚情報にあたるものすべてに一貫性を持たせることで、自分の意見や気持ちが、より正しく相手に伝わりやすくなります。
メラビアンの法則をビジネスシーンで活用する方法
ここからは、メラビアンの法則をビジネスシーンで活用する方法について解説します。活用できる場面を5パターン紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
電話
メラビアンの法則では、「言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与える」とされています。電話はお互いの様子が見えないため、言語情報と聴覚情報のみを使って、正確に意思疎通できるよう気を付ける必要があります。
たとえば、自社のサービスを利用している顧客から、不安そうな様子で「システムエラーが出る」と問い合わせを受け、問題解決のために営業側がアドバイスをすると仮定します。
この時、ただ棒読みで解決策を伝えるよりも、優しく明るい声で解決策を説明したほうが、「この方法で問題を解消できる」と相手に伝わりやすくなり、安心させられるでしょう。
電話はお互いに視覚情報が得られないコミュニケーションツールですが、声のトーンや抑揚に気を配ることで、自分の気持ちや表情なども相手に伝えられる場合があります。電話で円滑なコミュニケーションを取りたいときは、話し方に注意しましょう。
営業・商談
営業で顧客と商談を行なうときも、メラビアンの法則を意識するのがおすすめです。表情や声、ジェスチャーなどに一貫性を持たせると、営業側の話す内容に説得力が増します。
たとえば自社商材の特長を伝える際、笑顔でハキハキと明るく話し、時折ジェスチャーも交えながら説明すると、商材の良いところが顧客に伝わりやすくなります。
しかし逆に、自社商材の良いところを説明していても、営業側が緊張して無表情だったり、ボソボソと暗い声だったりすると、話している内容が正確に伝わらず、顧客から「魅力的なサービスに感じられない」と思われる可能性が高いでしょう。
営業や商談を行なうときは、説明する内容だけでなく、表情や声、仕草などにも気を配ることが大切です。
メール・チャットツール
メールやチャットは、言語情報を正しく伝えることに向いているツールです。しかし、お互いに表情や声色がわからないため、感情を伝え合うのはやや難しいでしょう。
ビジネスシーンにおいて、メールやチャットは、ほかのコミュニケーションツールや対面での会話と組み合わせて使うのがおすすめです。
たとえば、「会議の日時など事務的な連絡をするときはメールを使い、仕事での困り事などを相談するときは電話を使う」といったように、伝えたい内容に合わせてコミュニケーション方法を変えるとよいでしょう。
会議・プレゼンテーション
社内での会議やプレゼンテーションでも、メラビアンの法則を意識すると、自分の考えや意見を相手に伝えやすくなります。
たとえば、説明する内容のなかで「ここは特に重要なポイントである」としっかり伝えたい場合、声量を上げて少し強めに話すと、会議の参加者に重要な部分が伝わりやすいでしょう。
声のトーンを変えたり、時折ジェスチャーを交えたりするだけで、情報が肉付けされて話の説得力が増します。会議やプレゼンテーションを上手く進めたいときも、メラビアンの法則を活用するとよいでしょう。
部下とのコミュニケーション
上司が部下とコミュニケーションを取るとき、両者の間には権力の勾配があります。上司の言葉・声色・表情などに矛盾があると、部下が混乱したり委縮したりする可能性が高いので注意しましょう。
たとえば上司が部下を褒めるとき、笑顔で明るく「頑張ったね」と褒めれば、上司の「部下を褒めたい・労わりたい」という気持ちが、部下に正しく伝わりやすいでしょう。しかし、上司が無表情のまま部下に「頑張ったね」と言うと、言葉と態度が矛盾しているため、本来の意思とは違う意味で伝わってしまう可能性があります。
場合によっては、部下が「遠回しに成果が足りないと怒られているのでは…?」と不安を感じてしまうかもしれません。言葉・声色・表情などに矛盾がないよう注意し、自分の意思が正しく相手に伝わるよう気を付けましょう。
まとめ
メラビアンの法則について、概要や活用方法などを解説しました。メラビアンの法則とは、「対人コミュニケーションで言葉・声色・態度などが矛盾していた場合、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で相手に影響を与える」という心理学上の法則のことです。
人とコミュニケーションを取るときは、言葉だけでなく、表情・声色・ジェスチャーといった非言語の要素にも気を配ったほうが、円滑に意思疎通しやすくなります。メラビアンの法則は、商談や会議などのビジネスシーンでも活用できるので、顧客や社内の人々とコミュニケーションを取る際に役立てるとよいでしょう。
メラビアンの法則以外にも、新人営業を育成する際に活用されるものは数多くあります。新人営業の育成には時間も費用もかかります。
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