「商談化率が落ちた」だけでは、打ち手は決まらない。
リード区分設計の考え方

こんにちは。廣橋です。

最近様々なマーケターやインサイドセールス組織の皆さまとお話しする中で、下記のような会話を非常に多く耳にします。

「先月より商談化率が落ちている」 「リードの質が下がっているのではないか」 「いや、インサイドセールスの架電が甘いのではないか」

この議論、結論が出ないまま次の月に持ち越されるケースが本当に多いです。

理由はとして最も上げられるパターンが、見ている数字が「全体」であるケースです。
全体の数字は、状況が良いか悪いかは教えてくれますが、どこに手を入れればいいのかは教えてくれません。

今回は、その手前にある「リードをどういう単位で見るか」、つまりリードの区分設計について、基本的な考え方を整理してお伝えしたいと思います。

廣橋 陽介
エンSX株式会社 アカウントマネージャー

エン株式会社(前身:エン・ジャパン株式会社)へ新卒入社。法人営業としてキャリアをスタートし、インハウスのインサイドセールス(SDR/BDR)組織の立ち上げに参画。

チームリーダーとして100名を超えるメンバーをマネジメントした後、現在は様々な企業のSDR組織立ち上げに従事している。

区分がないと、打ち手が「全体論」になる

まず、区分がない状態で何が起きるかを見てみましょう。

下記は、あるサンプルの月次実績です。

前月

当月

リード数

480件

515件

送客数(商談化数)

65件

61件

送客率

13.50%

11.80%

リード数は増えているのに、送客率は1.7pt下がりました。

さて、ここから何が言えるでしょうか。

正直に言えば、ほぼ何も言えません。

言えることは「下がった」という事実だけで、そこから導ける打ち手は「もう少し丁寧に架電しよう」「クリエイティブを見直そう」といった、中身のない改善案になります。

そして翌月、また同じ会話をすることになります。

区分設計とは、この中身のない改善案を具体的な意思決定に変えるための、最も地味で最も効果のある作業です。

区分設計について

区分設計と言うと、リードを分類する作業だけをイメージされるかもしれません。

ただ、分類しただけでは打ち手は決まりません。必要なのは下記の2段階です。

①リードを3階層で分ける(チャネル/顧客行動/コンテンツ)

②分けた単位ごとに、アポイントにならなかった理由を持つ

私の経験上、多くの企業様は①だけを持っています。しかも、後述する大区分で止まっているケースがほとんどです。

そして②を持っている企業様は、ぐっと少なくなります。

この2系統を掛け合わせた単位こそが、意思決定に使える最小単位になります。

順番に見ていきましょう。

①経路区分の3階層

様々な企業様をご支援する中で、最もよく使う経路区分をご紹介します。私がよく使っている経路区分は、下記の3階層です。

階層

内容

例

紐づく意思決定

大区分

チャネル

リスティング広告、SNS広告、セミナー、メールマーケティング、比較サイト、展示会

予算をどこに置くか

中区分

顧客行動

ホワイトペーパーDL、パンフレットDL、セミナー登録、セミナー参加、メール返信、問い合わせ

どう追客するか、どの順で当たるか

小区分

コンテンツ

ホワイトペーパーのテーマ、セミナーのテーマ、メールの件名、広告クリエイティブ

次に何を作るか

重要なのは、3階層がそれぞれ別の意思決定に紐づいているという点です。

大区分だけを持っていると、できるのは予算配分の議論だけになります。「セミナーは効率が良い」「広告は落ちている」といった粒度の会話です。

これは経営報告には使えますが、現場の打ち手には落ちません。

中区分(顧客行動)が最も見落とされている

3階層の中で、最も持たれていないのが中区分です。

そして最も情報量が多いのも中区分です。

理由は明確で、顧客行動は「その人がいまどの検討段階にいるか」の代理指標になっているからです。

サンプルで見てみましょう。

大区分(チャネル)

中区分(顧客行動)

リード数

送客率

セミナー

参加

60件

25.00%

セミナー

登録のみ(不参加)

90件

12.20%

オウンドメディア

パンフレットDL

45件

26.70%

オウンドメディア

ホワイトペーパーDL

120件

11.70%

オウンドメディア

オンデマンドセミナー視聴

95件

16.60%

リスティング広告

問い合わせ

80件

13.80%

まず、セミナーをご覧ください。

大区分でまとめると、セミナー全体150件で送客率17.3%です。悪くない数字に見えます。

しかし中区分で割ると、参加者と登録のみの方で、送客率が2倍以上違います。

同じ「セミナー経由のリード」として同じ追客をしていたとすれば、それは全く温度の違う相手に同じ球を投げていたことになります。

次にオウンドメディアですが、こちらは3つの行動が同じ大区分に入っています。

送客率は11.7%、16.6%、26.7%。大区分でまとめた平均は16.2%ですが、その平均に該当する顧客は実際には存在しません。

行動が違えば検討段階が違い、検討段階が違えば当てるべきアプローチも変わります。

セミナーであれば、「登録のみをした人」、「参加をした人」、「参加をしてアンケートを書いてくれた人」で顧客側の温度感が大きく変わります。

メディアも、そのサイトを通じて何を行ったのかによってアプローチの導線が変わります。

これらを分けることで、アプローチ内容と顧客のインサイトを近づけ、

良質のCVに繋げていくことができます。

②区分ごとに「アポにならなかった理由」を見る

ここまでは、リードをどう分けるかという話でした。
もう一つ必要なのが、分けた単位ごとに「なぜアポイントにならなかったのか」を持っておくことです。


区分だけを整えても、出てくるのは「この行動の送客率は11.7%です」という事実だけです。そこから打ち手を決めるには、残りの88.3%が何だったのかを知る必要があります。


そこで、未送客のリードに対して理由を残します。私が実際に使っているのは下記の6つです。

  • 要件ギャップ
  • 価格ミスマッチ
  • 時期ネック
  • 情報収集のみ
  • 心当たりなし
  • 対象外(商流相違/既存顧客など)

なお、その前段にあたる「接触時に課題があったかどうかを見る」という話は、以前の記事でも触れています。よろしければこちらもご覧ください。


▼参考ブログ:成果を生み出す「インサイドセールス」と「マーケター」の関係性


前回お伝えしたのは「キーマン接触と商談獲得の間に指標を1つ置きましょう」という話でした。
今回はその続きで、アポイントにならなかった側をどう扱うかが主題になります。

経路区分 × 未送客理由の掛け合わせ

さきほどの表に戻ります。

「セミナー登録のみ」が12.2%、「ホワイトペーパーDL」が11.7%。この2つは、ほぼ同じ数字でした。

経路区分だけで見ていると、この2つは「似たような評価のリード群」として、同じ扱いを受けることになります。

では、未送客だったリードを状態区分で分解してみます。

未送客の分類

セミナー登録のみ

ホワイトペーパーDL

要件ギャップ

18%

16%

価格ミスマッチ

14%

8%

時期ネック

31%

19%

情報収集のみ

20%

42%

心当たりなし

5%

6%

対象外

12%

9%

同じ12%が、まったく違う中身であることがわかります。

分類ごとに手を入れる先は、下記のように異なります。

分類

手を入れる先

要件ギャップ

訴求内容、LPの記載事項

価格ミスマッチ

ターゲット企業規模の見直し

時期ネック

追客設計(止めずに寝かせる)

情報収集のみ

コンテンツ設計、ナーチャリング前提の設計

心当たりなし

広告面、配信設定の点検

対象外

出稿面、ターゲティング設定

セミナー登録のみのリードは、時期ネックが31%を占めています。

そもそも当日参加できなかった方々なので、当然そうなります。 関心はあるが、いまその時間が取れない状態です。

この群に対して必要なのは架電の強化ではなく、アーカイブ配信の案内や次回日程の提示といった、寝かせながら接点を維持する設計です。

一方のホワイトペーパーDLは、情報収集のみが42%です。

こちらは課題整理の段階にいる方が多数なので、短期の商談化を期待する対象ではありません。評価すべきはアポイント率ではなく、その後どれだけ再接触できたかになります。

送客率だけを見ていた場合、この2つは同じ棚に置かれ、同じ改善案が当てられていたはずです。

余談ですが、実際にご支援先でこの分解を行った際、あるweb広告経路のNGのうち約2割が「心当たりなし」でした。

掘っていくと配信面の設定に起因するもので、獲得数を追う中では完全に見えなくなっていた部分でした。

区分は、正解を出すためのものではなく、議論の方向性を探るためにあるのです。

まとめ

リードの区分設計についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

まとめると、下記のような整理になります。

  • 経路区分は3階層。大区分=チャネル、中区分=顧客行動、小区分=コンテンツ 
  • 階層ごとに紐づく意思決定が違う(予算配分/追客設計/コンテンツ制作)
  • 最も見落とされているのは中区分。顧客行動は検討段階の代理指標になる 
  • そこに状態区分(未送客の理由)を掛け合わせて、初めて打ち手の方向性が決まる


区分設計やNG理由の深堀は、新しい施策を打つわけでもなく、見た目に派手さもない作業です。
ただ、これがないままチャネルとコンテンツを増やしていくと、増えた分だけ判断が難しくなっていきます。

 

逆にここが整っていると、マーケターとインサイドセールスが同じ言葉で会話できるようになり、毎月の議論を「感想」から「意思決定」にシフトさせていくことができます。

 

自社のリード管理の方向性を模索されているという方に対して、今回の記事が一つのヒントになれば幸いです。

今回の投稿は以上です。ありがとうございました。
 

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