BIPROGY株式会社様
導入事例

市場の声で事業戦略を磨く。
BIPROGYが営業BPOで挑んだ自治体市場の仮説検証

BIPROGY株式会社

業界  :IT業界
事業内容:クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス、ソフトウェアの開発・販売および各種システムサービス
従業員数:8,801名(2026年3月31日現在 連結)
ご担当者:事業開発本部 部長 向井 剛志 様
     事業開発本部 主任 滝口 真太郎 様

導入の背景 自治体市場への展開に向け、まず必要だった「市場仮説の検証」
導入の決め手 市場検証を加速するための「実行力」と「柔軟性」 
導入後の効果 大量の一次情報が、事業戦略の精度を高める
全国各地でDXやスマートシティへの取り組みが進む一方、社会実装まで広げるには「地域ごとの課題やニーズを正しく把握すること」が欠かせません。

BIPROGY株式会社では、柏の葉スマートシティで培った都市OS・データ連携基盤をもとに、自治体向けの新たな地域DX事業の展開を進めています。

しかし、全国約1,700自治体を対象に事業を展開していく上では、「各自治体がどのような課題を抱えているのか」「自社が想定するニーズとのズレはないか」を検証しながら市場を開拓していく必要がありました。

そこで同社が活用したのが、エンSXの営業BPOによる自治体ヒアリングです。
今回の取り組みは、単なる営業活動ではありません。自治体へのヒアリングを通じて課題意識やデータ活用への温度感など、市場の一次情報を収集し、事業戦略の精度を高めるためのプロジェクトでした。

本記事では、都市OS事業を全国展開する中で直面した課題や、営業BPOを「市場調査・事業開発の手段」として活用した背景、そして得られた成果について、事業推進を担う向井様、滝口様にお話を伺いました。


■導入の背景|自治体市場への展開に向け、まず必要だった「市場仮説の検証」

BIPROGYでは、これまで柏の葉スマートシティをはじめとした地域DXの取り組みを通じて、都市OSやデータ活用基盤に関する知見を蓄積してきました。こうした実証や地域での取り組みを通じて、徐々に他地域からの問い合わせや関心も増え、全国展開に向けた機運が高まっていったといいます。

向井様「元々ずっと、三井不動産様と一緒にこのスマートシティの活動をやってきていました。2020年に入ってから、柏の葉を中心にマーケティングやアピールをしてきたのですが、複数の地域で採用され始め、各自治体の中で価値を出せそうだという兆しが徐々に見えてきたんです。

そういった背景がある中で、上位陣も含めて『いよいよ、やってきたことを全国目指して広くやっていこうか』という号令がかかったのが、昨年の秋口でした。」

しかし、全国展開という新たなフェーズに進むにあたり、同社には一つの大きな課題がありました。それは、「市場の広さに対して、どこからアプローチすべきか」という点です。

自治体市場は全国に広がる一方で、それぞれの地域によって人口動態、財政状況、DX推進への温度感は大きく異なります。そのため、単純に全自治体へ営業をかけるのではなく、まずは「どの自治体でニーズが生まれる可能性が高いのか」を見極める必要がありました。

向井様「そもそも、全国に1,700ある自治体に対して『どうやってリーチするのか』という問題がありました。我々自身が全国にチャネルができているわけではないので、市場の認知度を高めるためには広くアプローチしなければなりません。」

市場を開拓するためには、机上の分析だけではなく、現場の声を集める必要がありました。自治体市場では、人口規模や財政状況、行政課題によって意思決定の背景が大きく異なります。そのため、一般企業向け営業とは異なり、画一的なアプローチでは市場開拓が難しい領域なのです。同社では当時、自社だけで実行する場合、営業リソースの確保やコスト面でも大きな負担が想定されたといいます。

向井様「とにかく数を稼ぎたかったのですが、自社でやろうとすると営業が5人は必要になりますし、相当コストが高くなってしまいます。自社リソースだけで実施するのは難しい状況でした。」

そこで同社が検討したのが、外部パートナーを活用した営業BPOでした。自治体への接点創出から、ヒアリング、情報整理までを一気通貫で進める手段として、営業BPOの活用を検討しました。

■導入の決め手|市場検証を加速するための「実行力」と「柔軟性」

広範囲な対象に対して、短期間で市場の実態を把握する。
そのためには、単純な営業リソースの補完ではなく、一定量の接点を創出しながら、得られた情報を整理・分析できる体制が必要でした。そこでBIPROGYが選択したのが、エンSXの営業BPOでした。導入にあたって重視されたのは、「どれだけ早く市場検証を進められるか」という点だったといいます。

向井様「自社でやろうとするとコストが高い中で、お話を伺って『想定以上にコストが安い』『これならできる可能性があるんじゃないか』と感じました。その結果を社内に展開したところ、『じゃあやろう』と。新規事業ではスピードが重要だったため、比較検討に時間をかけるよりも、まず市場検証を開始することを優先しました。」

事業開発において、市場環境や顧客ニーズは常に変化します。特に新規市場への展開では、検討期間が長くなるほど市場機会を逃す可能性も。そのため、BIPROGYでは精緻な比較検討よりも、まず市場に向き合い、仮説検証を進めるスピードを重視しました。
向井様「事業開発というミッションにおいては、スピード感やタイミングというものはものすごく大事だと思っています。」

また、導入判断においては、実行体制やレポーティング方法も重要なポイントになりました。
今回の取り組みは、単に自治体との接点数を増やすだけではなく、ヒアリングを通じて得られる情報そのものが価値になります。そのため、どのように情報を蓄積し、事業側へ還元できるかが重要でした。

滝口様「私は当時、定例のレポート資料を見せてもらって、活動実績の月ごとの進捗が確認できわかりやすかったのを覚えています。また、決まった質問だけではなくて、その先もうちょっと深掘りの質問をしてくれると聞いて、『いいんじゃないか』と検討しました。」

さらに、パートナー選定においては、単なる営業手法ではなく、過去の経験や実績も重視していました。

向井様「基本的には実績ですね。手法は今どこも同じだと思っていますし、AIがやってくれる時代です。しかし、AIの活用方法だって1週間経ったら多分同じになる。そう考えると、いかにプロトタイプを作れるか。エンSXさんでは自治体開拓のご実績やノウハウをお持ちだったという点が大きいです。」

新規事業の立ち上げでは、最初から正解となる営業手法が存在するわけではありません。市場の反応を見ながら仮説を修正し、より成果につながるアプローチへ変えていく柔軟性が求められます。

向井様「実績があるからこそ柔軟に対応できますし、こちらの考えよりも先にユースケースを出してくれたりします。そこが今一番大きいですね。」

こうした点を評価し、BIPROGYは市場検証を共に進めるパートナーとしてエンSXを選択しました。


■導入後の効果|大量の一次情報が、事業戦略の精度を高める

プロジェクト開始後、まず大きな成果となったのは、短期間で大量の自治体情報を収集できたことでした。今回の目的は、一般的な営業BPOのような商談創出ではなく、「自治体市場に本当にニーズが存在するのか」を確認すること。そのため、接点数だけではなく、会話から得られる一次情報の質が重要でした。

滝口様「大前提として、今回はインサイドセールスによるアポイント獲得ではなく、ニーズ調査が目的でした。結果として、ここまでニーズが拾えて短期でちゃんと成果が出たのは良かったです。」

また、プロジェクトの進行過程では、当初想定していた以上に情報が集まったことで、途中から活動方針にも変化が生まれました。

滝口様「想定よりデータが集まったので、後半は『質を追う』という提案に変えていただいたのは想定外でした。我々の事業に合わせて対応を変えていただいたのはすごくありがたかったです。」

今回得られた情報は、単なるリードリストではありません。自治体ごとの課題感や推進体制、データ活用への姿勢など、今後の事業展開に活用できる市場情報が蓄積されていきました。

滝口様「データとしても、実際に『この自治体は県主導で動いている』『自治体単位で動いて失敗した』など、定性的な動向がちゃんと取れているのが良いポイントだと思っています。

これまで見えていなかった自治体ごとの違いが可視化されたことで、今後どのような自治体へ、どのような切り口で提案すべきか、営業戦略の精度向上にもつながっています。
また、副次的な効果として、営業活動だけではなく社内ナレッジの蓄積にもつながりました。

滝口様「また、気づいたら新人向けの『教材』ができているというのも非常に良かったです。」

自治体向けサービスでは、相手の状況に応じて説明内容を変える必要があります。しかし、自社だけで大量の接点を作ることは難しく、営業経験を蓄積する機会にも限界があります。

滝口様「我々が自分でやろうとすると、どうしても毎回同じ話にならず、相手に合わせて半分くらいの説明しかできなかったりします。その点、いろんなパターンのトークスクリプトがあり、ダメだったものも良かったものも含めて実際の録音データがあるというのは、新人の育成などにすごく役立つものになっています。

今回の取り組みは、市場調査という当初目的だけではなく、営業組織が市場理解を深めるための資産形成にもつながりました。
さらに、事業計画の観点でも大きな意味を持つ結果になったといいます。

向井様「事業としては計画どおりに進めるフェーズになってきているので、どちらかというとこの活動ができたことで、『KPIの設定値の確からしさがイメージできた』のが大きいです。


■エンSXへの評価

今回の取り組みを通じて、BIPROGYが得たものは、単なる自治体リストや商談機会だけではありませんでした。自治体へのアプローチによって得られた大量の一次情報は、同社が今後どの市場へ、どのような価値提供をしていくべきかを考えるうえで、重要な事業資産となりました。

営業BPOを「営業活動を外部に委託する手段」ではなく、「市場を理解し、事業戦略を磨くための手段」として活用した点が、今回の取り組みの大きな特徴です。

最後に、これまでのエンSXとの取り組みについて、率直な評価を伺いました。
――今回のプロジェクトを100点満点で評価すると、何点いただけますでしょうか。

向井様「合格点が80点だとすると、それはゆうに超えています。」

今回のプロジェクトでは、当初から決まった営業活動を実行するのではなく、事業開発の状況に合わせて検証方法自体を柔軟に変化させていく必要がありました。
その点について、滝口様は以下のように振り返ります。

滝口様「当初の期待値で言えば100点です。ニーズを測るデータを集めるという最初の目的については、リストがしっかりできていると思っています。リードリストがこれだけ揃っているのは、弊社内でも見たことがなく、かなりすごいことだと思います。」

今回の取り組みで得られた価値は、単なる接点数の創出ではありません。
自治体へのヒアリングを通じて、「どの市場に可能性があるのか」「どの課題から提案すべきなのか」という事業判断に必要な一次情報が蓄積されました。新規市場開拓において、最初から正解となる営業戦略が存在するケースは多くありません。市場の反応を捉えながら、ターゲットや訴求内容を磨き込むことが重要になります。

一方で、事業フェーズが進むにつれて、今後求められる役割も変化していくといいます。

滝口様「今後は、資料送付を希望された自治体にフォローメールを送って、実際にアポイントがどれくらい取れるのか、どこまで成果が出せるのかの検証になっていくと思います。どういうフォローができるかで、さらに良くなると思っています。」

市場を理解するフェーズから、具体的な商談化・事業拡大へ。
フェーズが変われば、必要となる打ち手も変わります。

今回のような新規事業領域では、最初から正解となる営業モデルが存在するわけではありません。実際の顧客接点から得られた情報をもとに、ターゲットや訴求内容、営業プロセスそのものを改善していくことが重要になります。その意味で、エンSXは単なる営業実行パートナーではなく、市場開拓を共に進める伴走者として位置づけられました。

滝口様「ものすごく定性的なデータがたくさん集まっているので、この取り組みを経て『具体的にどこに事業的な切り口があるか』『こういうニーズが必ずあるね』といったことが導き出せると思っています。

何百件も電話しているからこそ分かる傾向や、『この課題は再現性がある』『この課題は掘り下げる価値がある』といった事業上の提案まで踏み込んでいただけると、事業を伸ばしていくうえで非常にありがたいです。」

BIPROGYが今回実現したのは、営業活動の効率化ではなく、市場との対話を通じて事業の確度を高める仕組みづくりでした。市場がまだ確立していない新規領域では、営業活動そのものが市場理解の機会になります。今回の取り組みは、顧客接点から得られる一次情報を事業戦略へ還元し、新たな市場開拓の確度を高めた事例と言えるでしょう。

エンSXは今後も、企業の新規市場開拓における仮説検証から実行まで、伴走支援を続けていきます。


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