「人材の質が高い」
「導入実績が豊富」
「柔軟に対応できます」
こうした強みを伝えているのに、思うように競合との差別化ができない。そんな悩みを感じたことはないでしょうか。
月40社以上の企業様と商談をする中で、私はこうした場面に何度も出会ってきました。
「御社のサービスの強みは何ですか?」
そう質問すると、「人材の質が高い」「サポートが手厚い」「導入実績が豊富」「柔軟に対応できる」「コストメリットがある」といった回答が返ってきます。
ここ数年でDXが進み、SaaSだけでなく、人材、広告、SESなど、どの業界もサービスが増えました。
その結果、お客様は複数のサービスを比較することが当たり前になっています。
だからこそ、「良いサービス」であること以上に、「なぜこの会社を選ぶべきなのか」を伝えるための、バリュープロポジションについて解説します。

本記事では、この「選ばれる理由」を市場でどのように磨いていくのか、そのプロセスをご紹介します。

ここでいうバリュープロポジションとは、「なぜお客様が自社を選ぶべきなのか」という提供価値そのものを指します。
一方で訴求とは、その価値をお客様へ伝えるための表現やメッセージです。
営業会議やマーケティング会議では、
「どんな訴求なら刺さるだろう。」
このような議論をされる企業様も多いと思います。
もちろん、その時間はとても大切です。
ただ、そこで決まった訴求は、あくまで仮説です。
実際にお客様が興味を持つのか、本当にその言葉で話を聞いてもらえるのかは、市場に出してみなければ分かりません。
私自身も、「これは刺さるだろう」と思っていた訴求に対して全く反応を得られなかったこともあれば、伝え方を少し変えただけで反応が大きく変わった経験も何度もあります。
だからこそ私は、BDRは単にアポイントを獲得する役割ではなく、市場を理解するための役割でもあると考えています。
マーケティングでは、資料請求やお問い合わせといった反応は把握できますが、「なぜ興味を持ったのか」「なぜ興味を持たなかったのか」といった背景までは見えません。
一方で、フィールドセールスは商談や受注企業から多くの情報を得られますが、基本的には「話を聞きたい」と思っていただけた企業との接点が中心になります。
その点、BDRは興味を持っていただけた企業だけでなく、興味を持たれなかった企業とも日々対話します。
「なぜ断られたのか」
「どんな言葉なら興味を持っていただけたのか」
こうした市場のリアルな声を最も多く集められるのがBDRです。
だからこそ、デスクで考えた訴求だけを正解にするのではなく、市場の反応を見ながら、お客様が本当に価値を感じるポイントを見つけ、その伝え方を磨き続けることが重要だと考えています。
では実際に、市場の声からどのようにバリュープロポジションを磨いていくのか。私が経験した事例をご紹介します。
以前ご支援した製造業向けSaaS企業では、現場の紙日報をタブレットへ置き換え、リアルタイムでデータを可視化できるサービスを提供していました。
当初の訴求は、
という内容でした。
サービスとしては間違っていませんし、実際に提供できる価値でもあります。
しかし、思うようにアポイントにはつながりませんでした。
そこで架電結果を振り返り、なぜ断られているのかを一件ずつ確認していくと、ある共通点が見えてきました。
それは、
「管理部門としては導入したい。でも現場が高齢で、新しいシステムを使いこなせるイメージが持てない。」
という声です。
つまり、お客様が不安に感じていたのは「DXを進めること」ではなく、「現場で本当に使えるのか」という点でした。
そこで、訴求を
「現場の方でも直感的に操作できるタブレット形式になっており、作業を止めることなく簡単に入力できます。」
という内容へ変更しました。
すると、サービス自体は何も変えていないにもかかわらず、アポイント率は約2倍まで向上しました。
この事例で変えたのは、サービスではありません。
相手が抱えている不安に合わせて、伝え方を変えただけです。
この事例で見つかったのは、「DX」という価値ではなく、「現場でも無理なく使える」という、お客様が本当に価値を感じるポイントでした。
では、どのようにバリュープロポジションを見つけているのか。
私自身が意識している流れをご紹介します。

まずは受注した企業だけではなく、最終提案まで進んだ企業や、反応が良かった企業、逆に全く反応が得られなかった企業も含めて振り返ります。
どんな言葉に興味を持っていただけたのか、どこで話が止まってしまったのかを整理します。
業界、業種、企業規模、部署によって課題は大きく異なります。
製造業と物流業ではもちろん違いますし、同じ製造業でも工場長と情報システム部では興味を持つポイントは変わります。
まずはターゲットごとの課題を整理します。
その課題に対して、何を伝えれば興味を持っていただけるのかを考えます。
この時に意識しているのは、「自社が伝えたいこと」ではなく、「相手が聞きたいこと」です。
競合でも言える内容ではなく、自社ならではの事例や強み、不安を解消できるメッセージがないかを考えます。
考えた訴求は、実際に市場へ出してみます。
電話やメールでお客様の反応を確認しながら、本当に刺さるのかを検証します。
最後は必ず振り返ります。
どの業界で反応が良かったのか。
どの訴求がアポイントにつながったのか。
逆に、どの訴求では反応が得られなかったのか。
こうした結果を蓄積していくことで、
「製造業×300〜500名規模ならこの訴求」
「物流業ならこの事例」
といった勝ち筋が少しずつ見えてきます。
バリュープロポジションは、一度決めたら完成するものではありません。
市場やお客様の課題に合わせて、磨き続けていくものだと考えています。
そのため、デスクで考えた訴求だけで終わらせないことが重要です。
社内で議論し、仮説を立てることはもちろん大切です。しかし、その時点ではまだ「仮説」に過ぎません。
本当にお客様に響くメッセージなのかは、市場に出して初めて分かります。
だからこそ、BDRを通じて市場の反応を集め、仮説を検証し、改善を繰り返す。このサイクルを回し続けることが、自社ならではのバリュープロポジションを磨く近道だと考えています。
私自身、月40社以上の企業様とお話しする中で、「これは刺さるだろう」と思っていた訴求が全く反応を得られなかったこともあれば、伝え方を少し変えただけで成果が大きく変わったことも何度も経験してきました。
だからこそ、市場の声以上に信頼できる答えはありません。
デスクで考えた仮説を市場で検証し、お客様の反応をもとに改善を繰り返す。
この積み重ねこそが、競合には真似できない"選ばれる理由"をつくり、成果につながるバリュープロポジションを生み出すのではないでしょうか。