
アポイント取得時によく言われるのが、次のようなことです。
BANT、BANTCHを取れ
課題を聞け
しかし、これをそのまま実行すると高確率で失敗(答えてもらえず終話)します。
「お困りごとはありますか?」「課題は何ですか?」といったオープンクエスチョン(自由回答)は、脳に強い負荷をかけます。
このような抽象的な問いに対し、忙しい顧客は「考えるのが面倒なので『ない』と答える」という最短ルートを選んでしまうのです。
ここで一度、BDRの役割を再定義してみましょう。
BDRの仕事は、
課題を“回収”することではありません
BANTを“埋める”ことでもありません
顧客の思考を整理し、課題を構造的に導き出すこと。これが本質です。
課題を直接聞くのではなく、客観的な事実から「課題を浮かび上がらせる」手法をステップに沿って解説します。
まず、課題とは
理想(To-Be)と現状(As-Is)のギャップ
です。
このギャップを構造的に提示します。
まず、目標・あるべき姿を確認します。
例:「今期の売上目標は昨対で○%の成長目標ですか?」
ポイントはクローズドクエスチョンを活用することです。
「どうお考えですか?」というオープンな問いを避け、「AかBかCか、YesかNoか。」というクローズドクエスチョンを多用します。選択肢を提示することで、顧客は「選ぶだけ」という低いハードルで会話に参加でき、スムーズに本音へと近づけます。
例:「目標に対して、現在の進捗はいかがでしょうか?」
事実確認に徹します。ここでは意見を求めません。
ここが最重要です。
例:「目標が100で現状が70だとすると、この差分を埋めることが現在の焦点になりますか?」
顧客は“選ぶだけ”。そして、差分をこちらから提示することで、顧客は「それが課題だ」と認識せざるを得なくなります。
顧客:「そうです。現体制でパイプラインを強化するのは限界があるので、販路拡大の必要がありますね」
これで完成です。
こちらから指摘した課題と、顧客が自ら口にするのとでは、その後の「納得感」と「行動意欲」に差が生まれます。ここには心理学的根拠があります。
人は「他人から説得されるよりも、自分自身で行った説得に、より強く影響を受ける」ことが知られています。 営業が「御社の課題は〇〇ですよね」と言うと、顧客の脳内では「それはあなたの意見でしょう?」という反論の余地が生まれます。
しかし、誘導された結果として顧客自身が「今のままでは〇〇が足りないな」と口にした場合、それは顧客にとって「真実」になります。
「採用予定はありますか?」
→「足りています」
1.理想(To-Be)の提示
「御社のHPを拝見し、今期は売上〇億円とお見受けしました。来期は〇倍、など今期以上の目標をお持ちでしょうか?」(クローズドクエスチョン)
2.現状(As-Is)との乖離
「現状の人数でその売上を目指すとなると、一人あたりの生産性を〇倍にするか、新たな戦力を入れるかの二択になるかと思います。どちらのお考えですか?」(クローズドクエスチョン)
3.課題を明文化
顧客:「生産性を上げるのは限界があるから、やはり人を入れるしかないかな……」
私:「なるほど。目標を達成するためには『社員の確保』が大事になるという認識でよろしいでしょうか?」
結果として、「採用」は顧客が目標達成のために「自ら必要だと認めた手段」になるのです。
アポイント獲得時のヒアリングは、課題を“聞く”作業ではありません。顧客自身も気づいていない「理想と現実の乖離」を対話から整理する大事なプロセスです。
「課題は何ですか?」と聞く代わりに、
理想を問い
現状を握り
ギャップを提示し
顧客に言語化させる
その瞬間、アポイントは契約へぐっと近づくと思います。