
多くの現場で見られるのは、次の3つの壁です。
イベント後は短期間で大量のリストが発生します。
マーケティング、インサイドセールス(IS)、フィールドセールス(FS)それぞれが通常業務を抱える中で、リスト整理が後回しになりがちです。
どこまでをFSが追うのか
ISはどの層まで対応するのか
マーケはどこまで関与するのか
この線引きが曖昧なまま進むと、「誰も全体を見ていない」状態になります。
イベント直後は参加者の温度感が最も高いタイミングです。
しかし、リストの整理や引き渡しに数日〜1週間かかると、その間に関心は急速に薄れていきます。
結果として、追える一部しか追わず、大半のリストは手つかずのまま終わるという事態が起こります。
こうした課題を踏まえ、私が辿り着いた結論はシンプルです。
「イベントの成果は、当日の当たり方ではなく、イベント後にどう分け、どう渡すかで決まる」
重要なのは、
顕在・非顕在で単純に切ること
すぐ商談になりそうな人だけを追うこと
ではありません。
役割に応じてリストを分け、全体を動かす設計をすることが、イベントを「一過性」で終わらせないポイントだと整理しています。
イベントリストを「顕在層」「非顕在層」で分けてしまうと、
非顕在=今は追わなくてよい、という判断になりがちです。
しかし、イベント参加者は少なからず何かしらの関心を持っています。
そこで私たちは、顕在・非顕在ではなく“役割別”に分ける考え方を採用しました。
FSが追うべきリスト
ISが担うべきリスト
この切り分けを先に決めることで、「追えない」のではなく「追う意味がある」状態をつくります。
イベント後、すべてのリストをプロジェクトマネージャーが一次受けし、以下の軸でセグメントしました。
イベント参加有無(実参加/未参加)
アンケート回答有無・内容
役職・部署
企業規模・業種
これらをもとに、リストをA/B/Cの3段階に分類します。
A:優先対応(FS連携)
明確な課題感や検討意向が見られる
役職・企業規模的にも案件化余地が高い
B:IS対応(情報接触・温度感確認)
すぐの検討ではないが、関心領域が明確
今後の検討可能性がある
C:ナーチャリング対象
情報収集段階、または反応が薄い
ただし市場の反応としては重要
最も避けたかったのは、
「ホットな状態のまま動けない」ことでした。
マーケやFSを経由してから判断すると、どうしても時間がかかります。
そこで、イベント終了直後に全リストを受け取り、プロジェクトマネージャーがその日のうちにセグメントを実施しました。
夜遅くまでリストを整理することもありましたが、それは根性論ではありません。
スピードこそがイベント後最大の価値だと考えていたからです。
イベント起点のIS活動では、アポイント獲得だけを目的にしません。
重要なのは、
どの業界の反応が良いか
どの訴求が刺さったのか
なぜ今すぐ検討ではないのか
といった次につながる情報を回収することです。
ISでは、以下のような点を意識してヒアリングを行いました。
イベントに参加した背景
ブースやセッションで関心を持ったポイント
現在の検討状況と障壁
これらの情報をFSに連携することで、商談の質を高めることができました。
イベント起点の成果は、単純なアポ率だけでは測れません。
私たちが重視していたのは、「初回商談後の2回目商談設定率」でした。
イベントは短期間で多くの接点を生む一方、
その場の温度感だけで成果を判断してしまうと、
本来拾えるはずの案件機会を見落としてしまう可能性があります。
そのため今回は、
「どのセグメントが、どれだけ商談の“次”につながっているか」
という視点で成果を評価しました。
今回の取り組みでは、イベント後のリストをA/B/Cのセグメントに分け、
それぞれに適した役割とアプローチを設計しました。
あるオフラインイベントでは、FSが優先的にアプローチするリストを除いたうえで、
ISによる後追いを実施しました。
セグメントA:20件(2回目商談:7件)
セグメントB:19件(2回目商談:4件)
セグメントC:9件(2回目商談:2件)
全48件のアポイントのうち、
Aが約42%、Bが約40%、Cが約19%を占めており、
セグメントB・Cだけでも全体の約6割のアポイントを創出しています。
また、2回目商談への進展率を見ると、
A:約35%、B:約21%、C:約22%となり、
セグメントAだけが突出して質が高いわけではないことが分かりました。
オンラインイベントでは、
「参加×アンケート回答あり(A)」「参加×アンケート未回答(B)」「不参加(C)」
という形でセグメントを設定しました。
セグメントA:4件(2回目商談:2件)
セグメントB:5件(2回目商談:1件)
セグメントC:5件(2回目商談:1件)
全14件のアポイントのうち、
セグメントB・Cが約7割を占めており、
アンケート未回答・不参加層も、十分に商談機会を生んでいることが確認できました。
2回目商談への進展率は、
A:50%、B:20%、C:20%となっており、
参加有無やアンケート回答だけで、
機会の質を単純に判断すべきではないことが示唆されます。
これらの結果から、各セグメントに対する期待値は次のように整理できます。
Aは短期的な成果創出を担う層
Bは中長期の案件創出につながる層
Cは市場理解や次の施策設計に示唆を与える層
イベントリストは、単なる営業リストではなく、
次の打ち手を考えるための「学習データ」でもあると言えます。
最後に、2回目商談設定率における通常のBDR施策との比較です。
通常のBDR施策: 約14.5%
イベント起点(オフライン):約27.1%
イベント起点(オンライン):約28.6%
イベントリストは、数だけを見れば決して多くはありません。
しかし、適切にセグメントし、役割を分けて活用することで、
商談の質は通常施策を大きく上回ることが、数値からも確認できました。
本取り組みで成果を生んだのは、
特別なトークやツールではありませんでした。
事前に決めていた分け方
迷わず動ける役割設計
そして初動スピード
この3点が揃っていたからこそ、
イベントを一過性で終わらせず、受注につながる施策にすることができました。
イベントは「やるかやらないか」ではなく、どう活かすかで価値が決まります。
これからイベント施策に取り組む方、
すでに実施しているが成果に伸び悩んでいる方の参考になれば幸いです。