「うちの商材は売るのが難しい」
「いや、あのチームは扱っている商品がラクだから成果が出るんだ」
営業の現場では、こんな会話が日常的に飛び交います。
けれど、よく考えてみると「難しい」とは何を意味しているのでしょうか。
実際には、こうした“売りにくさ”は漠然と語られがちで、属人的な感覚に依存してきました。
でも、本当は営業の難易度は構造的に分解し、スコア化することが可能です。
そしてその構造を理解することこそ、 マネージャーにとっては育成の出発点であり、 若手営業にとっては「なぜ自分は売れないのか」を整理する最短ルートになります。

営業という仕事を最もシンプルに分解すると、大きく2つの力に整理できます。
【1】提案力(課題を特定し、価値を示す力)
【2】推進力(案件を前に進め、受注まで取りきる力)
両方の力が必要ですが、扱う商材の特性によって「どちらがより必要か」は大きく異なります。
提案力とは、顧客の課題を特定し、最適な解決策=価値を示す力。
提案力に影響する主な要素は次の通りです。
たとえば、顧客が課題を認識していない状態で、複雑な商材を提案し、さらにROIを言語化して説得する——
こうした案件では提案力が強く問われます。
一方の推進力とは、提案後に案件を受注まで進める力です。
推進力に影響する主な要素は次の通りです。
特にBtoBのエンタープライズ案件などでは、推進力の差が結果の差に直結します。
どれだけ良い提案ができても、決裁者に届かなければ案件は動きません。
ここで、提案力×推進力をマトリクスを用いて整理してみると、営業の難易度が一目で見えてきます。
推進力が低い | 推進力が高い | |
提案力が高い | 価値創出型(難易度:中) 例:専門商材・課題特定が鍵 | コンサル型(難易度:高) 例:SaaS/業務改革支援 |
提案力が低い | 反応待ち型(難易度:低) 例:既存商品のルート営業 | 案件推進型(難易度:中〜高) 例:大手向け提案営業 |
上に行くほど「提案の質」が求められ、 右に行くほど「社内外の巻き込み・推進力」が求められます。
この“構造化”こそが、営業力を再現性あるものに変える第一歩になりますし、自分や部下の営業がどの象限にいるのかを見極めるだけでも、“どんな力を伸ばすべきか”が見えてくるはずです。
マネージャーにとっては、部下の「努力の方向性」を可視化できます。
「提案内容は良いが、決裁者に届かない」なら推進力の課題。
「顧客の課題理解が浅く、提案が響かない」なら提案力の課題。
この切り分けができるだけで、指導の精度が格段に上がります。
若手営業にとっても、自分の“つまずきポイント”を構造で把握することは大きな武器です。
「気合いで乗り切る」から「原因を特定して改善する」へ。
営業力を鍛えるとは、センスではなく設計を磨くこと。
その最初の一歩が、「難易度を言語化する」ことなのです。
営業は属人的な仕事だと思われがちです。
しかし実際には、構造を理解し、戦略を言語化すれば 再現性をもって成果が出せる仕事になります。
これらをスコア化するだけで、営業は「感覚頼りの個人戦」から「仕組みで勝つチーム戦」へ変わります。
では、先ほどのマトリクスにもとづき、象限ごとにどのようなアプローチで能力開発をすべきかというと、私は次のように考えています。
→ 最優先は“型化と行動量”
→ 魅力的な提案ができても案件が前に進まないタイプ
→ 話は進むのに、内容が刺さらず成約率が低いタイプ
→ トップ営業が目指す領域
営業難易度を構造化することで、育成の精度もあげていけます。
ぜひマネージャーや育成担当者は以下のステップを活用してみてください。
▼メンバーごとに象限を分類:“伸ばすべき力”が明確になる
▼商材難易度とメンバー特性をマッチング:組織編成の質が上がる
▼組織ごとの育成テーマを設定
▼商談レビューの質が向上
エンSXでは、今回紹介した「提案力×推進力」の考え方をもとに、 自社商材・業界特性に応じた営業難易度スコアリングシートを提供しています。
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感覚ではなく構造で、“売れる力”の本質を見える化してみてください。