アプローチリストの「枯渇」を防ぐ!
BtoBセールスにおける商談機会を最大化する
多角的アプローチ戦略

はじめに:BtoBコールにおける現状の課題

BtoBビジネスにおける新規顧客開拓において、アウトバウンドコール(テレアポ、BDR)は依然として重要な手法です。

しかし、一般的なBtoB商材のリストtoアポ率は、BDR(Business Development Representative)の基準値で3%程度と言われています。この3%の壁を超えることが、商談機会の最大化、ひいては売上向上に直結します。

特に、ターゲット企業が限定されるバーティカル(業界特化型)サービスにおいては、リスト数が少ないため、1社に対するアプローチ頻度は高くなりがちです。

通り一遍のアプローチでは、クレームにつながるリスクも高まり、「クレームを恐れて漫然と時期を空ける」という悪循環に陥りかねません。結果として、「まだ当たるべきリスト」が「当たれないリスト」として放置され、商談機会を逸失し、リストの早期枯渇を招いてしまいます。

この課題を解決し、「当たれないリスト」を「商談につながるリスト」に変えるための、継続的な多角的アプローチ手法を提示します。
河野 良太
エンSX株式会社 アカウントマネージャー
2012年 エン株式会社(旧:エン・ジャパン株式会社)入社
2015年 TL昇格
2016年 埼玉拠点立ち上げ 拠点長
2019年 SX部(エンSXの前身)立ち上げ

メンバー時代には1日80件のコール。
TL時代は1日に4件の顧客訪問をしつつ、コール。
SX立ち上げ時は、自身も架電メンバーとしてもう一度1日80件のコールを行い、他社サービスのアウトバウンドを経験。
実体験に基づいたアウトバウンドのTipsをお届けします。

なぜ「複数回アプローチ」が必要なのか?

リストtoアポ率3%を超えるためには、単なる手数ではなく、「複数回アプローチ」を前提とした戦略的な再接触が不可欠です。

単発の架電で成果が出なかったリストに対し、時期や担当者を変え、アプローチを継続することで、初めて商談機会が生まれるケースは少なくありません。

具体的な再接触が必要となるリスト例は以下の通りです。

  • 不通リストの再調査・再アプローチ:電話番号の調査をし直す、時間を変えるなど
  • 受付ブロックリストへの戦略的アプローチ:時間を変える、別ルートを試すなど
  • 一度NGをもらったリストへの再アプローチ:NG理由を踏まえ「なぜ今、あなたに連絡したのか(Why you, why now)」を明確にして再接触

特に3の「再アプローチ」を成功させる鍵は、「変化」を作ることです。

再アプローチを可能にする「変化」の法則

単に時期を空けるのではなく、顧客に「なぜまた電話してきたのか?」と思わせない、「変化」が生まれたタイミングで再アプローチすることが重要です。
この「変化」は大きく①「顧客の変化」と②「自社の変化」の2つに分類できます。

① 顧客の変化(Customer-side Changes)

アプローチのきっかけを顧客側の事情に見出すパターンです。

変化の分類

具体的な変化の例

アプローチ時の視点

  1. 顧客が自主的に検討する状況になる

経営層による課題の顕在化、社内でのサービス検討の機運向上、事業計画の変化など。

「貴社内で〇〇という課題が顕在化していませんか?」と、外部情報や仮説から課題に切り込む。

  1. 顧客の担当者が変わる

組織変更や異動に伴い、アプローチ対象の担当者が交代する。

「ご担当者様が変わられたと伺い、改めてご挨拶と情報提供に伺いました」と、リセットした状態からアプローチできる。

②自社の変化(Company-side Changes)

アプローチのきっかけを自社側の進展に見出すパターンです。

変化の分類

具体的な変化の例

アプローチ時の視点

  1. 受注が増え、事例ができる

3-1. 導入事例(同業他社の動き):同業他社が導入したという「事実」をネタに、課題・契約背景のストーリーを紹介。

「〇〇社様(同業)が導入されました。貴社も同様のお悩みをお持ちではありませんか?」

3-2. 活用事例(特定の活用シーン):同業他社の具体的な「活用シーン」を紹介し、同じ課題を持っていないかを確認。

「〇〇という活用で成果が出ています。もし貴社でも〇〇のような課題があればお役に立てるかと」

3-3. 成功事例(数値としての成果):具体的な「成功(効能・効果)」を数字で示し、課題解決の可能性を提示。

「〇〇社様で●%のコスト削減が実現しました。貴社の現状と比較していかがでしょうか?」

  1. キャンペーンがリリースされる

期間限定のオプション無料、延長キャンペーンなど、明確な「お得な情報」の提供。

「期間限定で〇〇のキャンペーンを実施しております。前回と状況が変わっていませんか?」

  1. 導入社数がインパクトのある数字を超える

導入企業数、ユーザー数、登録者数などがキリの良い数字を超え、サービスへの信頼性が高まる。

「導入社数が〇〇社を超えました。改めて最新の情報をお届けしたく」

  1. 自社の担当者が変わる

担当営業の変更を機に、新たな視点で再アプローチをかける。

「担当が変わりましたので、改めて現状のヒアリングと情報提供をさせていただけませんか」

「変化」を駆使したアプローチの具体例

これら8つの「変化」は、すべて再アプローチにおける「Why you, why now」(なぜあなたに、なぜ今連絡したのか)の根拠となります。この根拠が見つかることで、通り一遍ではない「トークスクリプト」を作成することが可能になり、論理的な再TEL(再アプローチ)が実現します。

【実例:人材採用サービス「エン転職」にみる高頻度アプローチの可能性】

例えば、弊社親会社エンの主要サービスである人材採用メディア「エン転職」に置き換えてみると、いかにアプローチの「ネタ」が頻度高く訪れるかが理解できます。

変化の分類

エン転職に置き換えた具体例

  1. 顧客が自主的に検討する状況になる

・退職者が出て、新しい人材が必要になる。
事業拡大に伴い、新しい人材が必要になる。

  1. 顧客の担当者が変わる

ジョブローテーションなど人事異動は定期的に起こりやすく、コール対象者が変わりやすい。

  1. 事例

同業他社の導入、活用、成功事例は定期的に生まれ、アプローチの強力なフックとなる。

  1. キャンペーン

期間延長や特定オプションの無料化など、複数のキャンペーンが同時期に行われることもあり、頻繁に再接触の機会が生まれる。

  1. 導入社数・登録者数

転職登録者が1,000万人を超えるなど、インパクトのある数字が定期的に更新され、サービスの信頼性向上に寄与する。

このように、商材が持つ特性や事業活動の変化を組み合わせることで、「変化」のタネは驚くほど高頻度で訪れます。

8パターンの中でも優先的に活用すべき「変化」について

顧客が検討フェーズに入っていた = 電話したら「ちょうど考えていた」と言われる。(変化の1)それは稀ですので、変化3~6を(自社の営業が)話しやすさと(架電先への)メリットのマトリクスで分け、活用の仕方を考えるとよいでしょう。

顧客(電話先)にとって、メリットに感じやすい。かつ営業もネタとして話しやすいのはキャンペーン。通常〇〇万円が期間限定で●●万円、今なら△名分トライアルで無料! など。

しかし、キャンペーンが打ちづらい商材もあるかと思います。本来のテレアポに立ち返ると...テレアポの意味は「興味喚起」。要は耳を傾けられる話が出来ることが大切です。

そうなると、実は一番用意しやすく話せるのは事例。貴社と「事業内容が近い」×「規模」or「所在地」or etc…。当てはまる会社が必ずあるはずです。

  • とある会社と契約した
  • とある会社がうまくサービスを利用している
  • とある会社がうまくサービスを利用して数字的に効能が得られている

そこに貴社の強みがあります。

最後に:アポが取れないままになっているリストは「商談の宝庫」

かつて私自身もエン転職の営業として、アプローチしたのは年間多くても数百社の企業。数千といった数字ではありません。

「当たれないから」と、漫然と時期を空けて放置されているリストの中には、依然として商談機会のあるリストが埋もれている可能性が極めて高いです。

「8つの変化」をアプローチのトリガーとして活用することで、既存のリストを継続的に再活性化し、リストの枯渇を防ぎながら、貴社の商談機会を最大化できることを確信しています。ぜひ今一度、リストと向き合ってみてください。

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