受注分析してますか?
―「勝ち筋」をつかむ営業になるために―

その”勝ち”は説明できますか?

「なぜあの商談は取れたの?」

あなたは、こう聞かれて即答できますか?

私はこれまで数多くの営業現場を見てきましたが、失注分析は問題なく実施できていても、受注分析となると「あー、そこまでは手が回ってない」という声をよく聞きます。

それ、そのまま放置していて良いのでしょうか・・・?

勝因を正しく言語化できなければ、同じ勝ち方を再現するのは運任せ。それでは宝くじと一緒です。属人化に悩む組織ほど、受注分析は突破口になりますので、本コラムでは受注分析のポイントをお伝えしていきます。

遠藤孝幸(えんどう たかゆき)
エンSXセールスアナリティクス
2025年よりエンSXセールスアナリティクスに参画。前職では研修会社にて多くの案件を受注し、営業未経験ながら1年でリーダーに昇進。その後、1社で受講者700名を超える新人研修の企画・設計・運営まで行うプロジェクトを完遂するなど大型案件を次々に成功に導く。
これまでの経験を活かし、もっと営業で活躍できる人を育てたいという想いから、現在はロジカル×心理学の伴走型育成でセールスパーソンの育成に心血を注いでいる。

失注分析に偏る2つの理由

受注分析の話をする前に、なぜ多くの企業が失注ばかりを分析するのか。
その点を整理していきましょう。理由は明白です。

1. 痛みが強いから

人は利益を得るよりも、損失を被ることをより強く嫌う心理傾向(損失回避性やプロスペクト理論と呼ばれるもの)があります。営業会議でも受注より失注が話題の中心になることはよくあるケースではないでしょうか。

2. 受注案件は振り返りの時間が少ない

受注すると契約締結や制作、納品までの後工程が発生するため、提案プロセスを十分に振り返ることなく進めてしまうことが往々にしてあります。

一方で失注案件は会社や上司に報告して基本的には終了、となりますので嫌でも振り返りの時間と機会があるのです。

組織、チームとして「負けを減らすための守備型PDCA」をしっかりと回していくことは大切ですが、そこばかりに意識を向けていると攻めの再現性が育ちません。

これは、本当にもったいないことです。

受注分析がもたらすメリット

失注と同じように、受注案件についても要因分析を行えるようになると、次のようなメリットがあります。

■ 競合優位性を定量化できる

価格、機能、対応スピード…などいわゆる受注の「決め手」をデータ化できれば、次回の別の提案にすぐに転用していくことができます。また、同じお客様にアップセル・クロスセルの提案をする際にも受注確度を高める効果が期待できます。

■営業担当者の自信と再現性を生む

「○○さんの提案力が決め手だった」というフィードバック。営業をやっていれば多くの方に共感してもらえるのではないかと思いますが、これは最高のモチベーションアップですよね。具体的に提案の何が良かったのかを深堀りしてヒアリングをできれば、再現性も高まっていきますし、営業担当者個人の強み発見にもつながります。

今すぐできる受注分析の実践4STEP

それでは具体的に受注分析って何をどうすればいいの?ここでその疑問を解消していきましょう。

STEP1 3つの勝因仮説を立てる

① 誰が意思決定を主導したか
② 競合との優位性は何だったか
③ 商談プロセスで光った自社(または営業担当者)の強みは何だったか


お客様に答えを聞く前に、まずは自社で勝因の仮説立てを行います。仮説は、後から得られるお客様の回答とズレを検証することで、徐々に勝因を精度高く考えられるようになっていきます


STEP2 お客様に1分で答えられるアンケートメールを送る

よくあるのが回答を全て自由記述にしてしまうケースですが、お客様からすると手間が掛かりますので、返信率が下がります。時間コストを明示し、回答の選択肢は箇条書きにしましょう。

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受注要因の確認メール例(コピペして使ってみてください)

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件名:御礼と1分アンケートのお願い/△△株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。△△株式会社の××でございます。

 

このたびは□□をご発注くださり、誠にありがとうございます。

今後の支援体制を強化するため、決定理由を教えていただけますでしょうか。

下記①〜⑥の番号をご返信いただくだけで構いません。

 

① 価格・費用対効果が高かった

② 機能・品質が充実していた

③ 実績・事例の信頼性があった

④ 導入後サポート体制に安心感があった

⑤ 担当者の提案力・人柄が良かった

⑥ その他(自由記入)

 

お忙しいところ恐縮ではございますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

――――

△△株式会社 ××

TEL/Mail

 

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失注要因の確認メール例(コピペして使ってみてください)

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件名:ご選定理由につきまして/△△株式会社
〇〇様

いつもお世話になっております。△△株式会社の××でございます。

先日は□□をご検討いただき、誠にありがとうございました。

 

誠に残念ながら今回はご期待に沿えませんでしたが、

今後の改善に活かしたく、ご選定理由をお伺いできますでしょうか。

下記①〜⑥の番号をご返信いただくだけで構いません。

 

① 価格が高かった

② 機能・品質が要件に届かなかった

③ 提案内容が自社に合わなかった

④ 担当者の対応・説明に不安を感じた

⑤ 社内事情の変化(予算・方針等)

⑥ その他(自由記入)

 

頂いた内容は社内で共有し、次回のより良いご提案に活かしてまいります。

お忙しいところ恐縮ではございますが、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

――――

△△株式会社 ××

TEL/Mail

 

STEP3 お客様にインタビューして仮説を検証する

例えば、お客様からの回答結果を分析したところ「担当者の提案力・人柄が良かった」が最も多かったとしましょう。

ここで終わりにしてしまっては、意味が全くありません。分析ではなく、ただの集計です。

具体的に提案力の何が意思決定に影響を与えたのか?
人柄のどんなところ(行動?態度?)に魅力を感じたのか?

項目を深堀して検証を進めていく必要があります。そこで5分だけ時間をもらい、オンライン or 電話でお客様にインタビューをします。実施目安のタイミングとしては、受注後2週間以内には行うようにしましょう。

―――インタビュースクリプト―――

Q1 決定直前、一番迷われたポイントは何でしたか?
 ・・・「価格とサポートで最後まで揺れた」など、具体的な比較軸を引き出す。

Q2 当社の提案が競合より“刺さった瞬間”はいつでしたか?
 ・・・デモ画面・資料ページ・発言など、シーンを時系列で語ってもらうと再現性が上がる。

Q3 もし、もう一度同じ検討をするとして、当社が強化すべき点は何だと思いますか?
 ・・・成功後にもあえて改善点を聞くことで、次回のより良い提案に活かす。

★コツ
・冒頭で「5分で終わります」と宣言し、録音許可を一言添える。
・お聞きした内容は必ず記録し、社内に蓄積する。
・インタビュー音声は、後でAI文字起こしツールに流せば議事録も自動化できます。

「仮説 → 実証 → 学習」のサイクルが一気に回り、受注分析の実用度が跳ね上がります。


STEP4 社内のナレッジとして蓄積し、共有する

ここまで行って初めて、商談の勝ち筋、パターンが見えてきます。受注分析は、次の提案でも勝つために実施するものです。

つまり、勝てる営業の再現性を高めていくことにあります。

受注分析の結果は社内のナレッジとして溜め込むようにして、いつでも誰でも閲覧、利用ができる状態にしておくことが望ましいでしょう。

AIが営業の「勝ちパターン」を教えてくれる時代

既にAIが仕事、日常生活あらゆるシーンで活用されるようになっていますが、営業も例外ではありません。むしろこれからの営業は、AIがもっと手伝ってくれるようになるはずです。

商談中の会話を録音して、AIが自動で文字に起こしてくれるのは当たり前の時代です。そこから「お客様が興味を示した瞬間」「競合と比較された箇所」「最終的な決め手になった要素」を抜き出してくれる。

営業担当者のパソコン画面に「この商談、価格よりもサポート体制を重視してますね」「競合のA社と比較されてます」なんて、リアルタイムで教えてくれる。

AIが教えてくれた勝因を、どう次の提案に活かすか。どの順番で話すか。どこを強調するか。このような戦略的な判断が、営業の主な仕事になっていくことでしょう。


まとめ

・失注分析=ボトルネックの可視化
・受注分析=強みの可視化


この両輪がそろってこそ、商談の受注率、営業の生産性は高まっていきます。

特に受注分析は属人的な勘や経験を、再現可能な勝ち筋に変えていく最短ルート。
やらない理由がありません。

…と、偉そうに書いてますが、実は私も最初は分析をおろそかにしていました。

でも、やってみると効果は想像以上。
個人としてのリピート受注率は78→85%チーム全体では58→64%への改善を達成しました。

お客様から受注要因を聞くことで組織内での勝ちパターンが確立されていくのは大きなメリットではありますが、同時に部下の成長実感やモチベーション向上にも大いに役立ちます。

部下が受注した案件に同席したときのこと。お客様に「何が決め手になりましたか?」と質問を投げかけたところ、こんな回答が返ってきました。

「○○さん(部下)のヒアリングがとても良かった。正直、経験や知識では少し不安なところもあったけど、こちらの課題や要望に対して真剣に耳を傾けて聴いてくれた。何度か話をしているうちに解決策のアイデアや方向性を固めることができたので、このまま○○さんにお任せしようと決めた」

この時の部下の嬉しそうな表情は今でも忘れられません。

自分なりの営業スタイルや強みにも自信を持てたようで、そこから少しづつ営業成績も伸びていき、一人前のセールスパーソンとして活躍する頼もしい存在となりました。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

野村克也氏の座右の銘で有名な言葉ではありますが、不思議な勝ちを少しでも減らす努力をする。そのために有効なのが受注分析です。

個人だけでなくチームの営業力強化にもつながっていきますので、ぜひ一度試してみてください。


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