競合とバッティングしたとき、どう勝ちきるか?
-商品・価格で勝てない時代の営業勝ちパターン

こんにちは、エンSXの野田です。

本日は、営業職であれば誰もが経験し、悩んだことのある【競合とのバッティング時の勝ち方】について、私自身が実践している「勝ちパターン」をそのままシェアしたいと思います。
野田 勇次郎
エンSX 事業責任者
2016年エン・ジャパンに新卒入社。法人営業からキャリアをスタートし、チームリーダー、マネージャーを経験。その後、SaaS領域やWebサイトUI・UXなどの新規事業に営業責任者として事業立ち上げを成功させる。2022年からはエンSXの立ち上げに参画し、事業責任者を務め、2024年に法人化。趣味はキックボクシング、サウナ。

■なぜ今、営業活動は難しくなっているのか?

直近、営業をする中で、以下のように感じることが増えてきたと思いませんか?

・商品/サービスで差別化が難しくなってきた
・類似サービスがどんどん増え、競合が増えた
・競合に値引きをされて失注することが増えた

これは個社の問題ではなく、
営業活動全体の難易度が上がっている時代背景によるものです。


1.商談スタイルのハイブリッド化

コロナ禍以降、商談はオンライン×オフラインのハイブリッド型へと進化しました。オンラインだけで完結する商談では、信頼や深い提案価値が伝わりにくく、「価格と機能で比較されやすくなる」という構造に陥りがちです。

2. 顧客の情報リテラシーの向上

もはや営業から情報を聞かなくても、Web検索・展示会・口コミサイト・生成AIなどを使えば、サービスの機能・価格・導入事例まですぐに把握できます。つまり、「知らないから教えてほしい」ではなく、「知っている前提で話したい」という顧客が増えています。

3. サービスのコモディティ化

インターネットの進化により、情報収集もしやすい時代です。手軽にビジネス構想を思いつきやすく、参入障壁は低くなりがち。どの市場でも競合は増えていることでしょう。過去と比べ競合が増え、商品そのものでの差別化がしづらくなっています。

■よくある負けパターンと、顧客の本音

私がこれまで多くの営業現場を見てきて、競合バッティングで負ける典型例は、以下のように顧客が感じてしまうことです。

・「 複数社(5~10社)を比較検討しているが、どこも良いことを言っているように見える」
・「差が分からず、上申時に「金額」で指摘され、結局“安い会社”に決まってしまった」

部下や周囲で、上記の事象は起きていませんか?
ここで大事なのは、顧客側の心情です。

・「ぶっちゃけ、どの会社も似たようなことを言っている」
・「説明を聞いたけど、違いが分からなかった」

つまり、これだけサービスの競合が増え、コモディティ化が進む中で、顧客側も混乱しているのです。

皆様も、消費者視点になってみた際に、保険商品や不動産商品など、日常の中でも商品の選定が難しいシーンがありますよね。まさに、同様の事象は、BtoBの領域でも起きています。

■本記事のゴール

本記事では、負けパターンから脱却し、他社「機能」「価格」に左右されずに勝ち切る鉄則を共有します。

・競合と並べられたときに、“違い”をどう出すか
・顧客に「価格」だけで選ばせないための一手とは?

ここからは、具体的な勝ちパターンと再現性のあるアプローチを解説していきます。

■バッティングで勝つ鉄則について

世の中には限りなく商品・サービスがあるので、全て網羅できるかはわかりませんが、BtoB商材であれば、本質は変わらないと思いますのでどの業界でも通用すると思っています。

以下、手順に沿って、ポイントを紹介していきます。

はじめに

具体的な手順の説明をする前に、まずサービスを選定する顧客について、前提を揃えておきましょう。

私の所感としては、明確に【サービス選定軸】をイメージして商談に臨んでくる顧客は全体の2割ほどで、非常に稀です。約8割、大半の顧客は、初回商談時点では明確に【サービス選定軸】を定めていないのです(曖昧な状態)。

そこで必要な営業のアクションはシンプルです。

「自社の土俵(強み)に持ちこんで勝つこと」

これに尽きます。

つまり、顧客に営業自ら
”顧客のサービス選定条件”、を**”自社の土俵(強み)になる”ように、”合意を得る”という工程がとても重要なポイントになってくるのです。

沢山のケースで考えたいのは山々なのですが、ここからはコモディティ化サービスの代表例として、当社が実際に展開しているインサイドセールス代行サービスを例とします。

※その他のサービスにも間違いなく通用する考え方なので、ぜひ参考にされてください。


手順① 土俵となる自社の強みを整理する

私たちのインサイドセールス代行サービスは、ざっくりいうと以下の特徴・利点があります。

・業界内では、高価格帯に位置づけられる
・実行支援するディレクター、インサイドセールスの品質レベルは高い
・アポイント獲得だけでなく、勝ち筋(戦略設計)や高度化されたアプローチが可能

などなど。いくつかの強みがあります。

一方で、「インサイドセールス代行を活用したい」という企業の皆さんは、上記のすべてを求めてはいません。私はこれまで何千社と話をしましたが、商談段階では多くは以下のようなふわっとしたニーズであることがほとんどです。

「できるだけリスクなく外注できないかな~」
「できるだけ品質は安心できるところないかな~」

この状態のまま、ただ単に「うちは品質が高いんです!」と特徴と利点を伝えても、全く刺さりません。(共感される方も多いんではないでしょうか。)

顧客からすると、みんなが同じようなことを言うので、何が違うか分からないのです。

※圧倒的に業界内の事例が多かったり、100%保障できるサービスや全くリスクがないサービスであれば話は別ですが、それはそれで難しいですよね。

結局、比較検討段階で「なんかすごそう!でも他と比べると高いね」となって失注します。意志決定者に上申しても、他社との違いを担当者が説明できないからです。

だからこそ、しっかり【自社の土俵(強み)に持ってくる】動きが大前提必要なのです。

そのためには、ヒアリング&ディスカッションの工夫が必要不可欠です。

手順② ヒアリング(状況質問)を通じて、顧客の課題を言語化させる

ここで特に大切なのは、ヒアリングを通した課題の落としどころを、全て自社の土俵(強み)に持ち込むことです。

そのために、状況質問を繰り返し行う。そのうえで課題の解像度を高め、顧客への問いを通して、自社の土俵(強み)に持ってくる動きが求められます。

※世の中一般的に提唱されている、「SPIN」の**Situation (状況質問)**に近いアクションです。

よりイメージを持ちやすくするために、例を挙げてみましょう。

再掲ですが、先述の当社の強みの中で、「品質の高さ」が課題解決に最もマッチするポイントの案件だったとします。そのために、意図的に顧客自身に
「品質の高さが課題解決に繋がる」と言語化させるためのヒアリングを実施します。

■再掲:自社の強み
・業界内では、高価格帯に位置づけられる
・実行支援するディレクター、インサイドセールスの品質レベルは高い
・アポイント獲得だけでなく、勝ち筋(戦略設計)や高度化されたアプローチが可能

今回戦うべき土俵(強み)は「品質の高さ」です。品質が高いという課題解決の方向性に持っていくためには、顧客にまず次のような点を理解いただく必要があります。

・インサイドセールスのプロジェクト難易度の高さを理解いただく

以下が質問の例ですが、インサイドセールス代行を活用するにあたっての、難易度の把握、自社の要望度の高さを認識する方向に持っていくヒアリングが大切なのです。ヒアリングを通して、顧客に”気づき”や”発見”の機会を提供します。

■ヒアリングのイメージ

   質問例  目的
 Situation

①御社の商材の市場は成長市場か?、成熟市場か?

②御社の商材の優位性はどんな点が挙げられますか?

③その優位性は他社が言えない、御社の独自性のあるものですか?

④どんなターゲット企業と相性が良いですか?具体的なペルソナは?

⑤攻略したいキーマンはどの部門の、どの役職レイヤーですか?

⑥架電時のNG理由としてどんなNGが多いと思われますか?

 顧客の状況を多方面から押さえる

 

手順③ 課題を認識させ、顧客と解決の方向性についてのコンセンサスを得る

次に、状況質問を踏まえたうえで、(1)課題認識をさせるための問い、(2)解決の方向性のコンセンサスを得る、の2つのプロセスを進めていきます。

※こちらは「SPIN」の**Problem(問題質問)**に近いアクションです。

ここでは敢えて、顧客にとっては耳の痛い話をしなければなりません。

■課題認識をさせるための問いのイメージ

  問題質問例 目的
Problem  

①率直に、商材として差別化が難しい中で、開拓の難易度は高いと感じますがいかがですか?

②率直に、単に架電をするだけでは、アポが簡単に取れないイメージなのですが、いかがでしょうか?

③御社の商材は、誰が架電をしても成果が出るほどシンプルでしょうか?
それとも、個社ごとに訴求など。やり方次第で大きく変わるものですか?

④攻略したいキーマンは架電をして簡単に捕まると思いますか?

⑤キーマンとコンタクトをして話せる時間って30秒とかなのですが、30秒で御社の差別化要素を伝えるとしたらなんと伝えますか?

課題認識をさせる    

 

上記のように質問をぶつけることで、「難易度の高さ」の目線は徐々にそろっていきます。

■解決の方向性のコンセンサスを得る

  問題質問例 目的
Problem           改めて考えてみたのですが、●●さんにとって今回最も大事な視点は「単に一律でオペレーティブにコール支援をするのではなく、個社に合わせた1to1で訴求ができるインサイドセールスの動きができるかどうか」ではないでしょうか? 解決の方向性のコンセンサスを得る                                     

 

状況を詳細に押さえ → 課題を認識してもらい → 解決の方向性のコンセンサスを得る

この3プロセスを意図的に挟むこと。そこで得たコンセンサスの方向性が、自社の土俵(強み)に近ければ近いほど、自社だからこそ優位性が出せる提案になるのです。

よく提案資料などで【伝えたいことは1つにメッセージを絞って】と言われること、ありませんか?まさにそれと同じで、戦うべき土俵を絞って、競合と戦うのです。

本記事ではインサイドセールス代行サービスを例に出しましたが、SaaS商材、広告ソリューションなど、どのようなサービスでも本質は同じだと思っています。

例えば、シンプルに安さを売りにするSFAを扱う企業であれば、土俵は「シンプルさ・安さ」に設定するのです。解決の方向性のコンセンサスとして「今の組織状況からすると、機能を減らしたシンプルなSFAを使った方がよいと思いますが、いかがですか?」と持っていくために、状況を押さえ、課題認識をさせる問いを考えるのです。

■まとめ

以上です!競合とバッティングした際、勝つためのヒントになりましたでしょうか?

私の営業歴は10年ほどですが、競合とのバッティングではほぼ負けなしです。それは、ソリューションスキルと、勝つための提案ストーリーの設計によるものと自負しています。

以下、ポイントのおさらいです。

1.状況を詳細に押さえ
2.課題を認識してもらい
3.解決の方向性のコンセンサスを得る


※これらが、自社の土俵(強み)に近ければ近いほどバッティングをしても負けません。

自社が競合に勝つための提案ストーリーの設計に悩まれたら、ぜひご相談ください!

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